研究課題/領域番号 |
23700940
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研究機関 | くらしき作陽大学 |
研究代表者 |
桐野 顕子 (石川 顕子) くらしき作陽大学, 食文化学部, 助教 (10566574)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | カロテノイド / HPLC |
研究概要 |
本研究では、食生活で加齢黄斑変性を予防するという視点から、食品に含まれる有効成分の定量法の確立ならびにデータベースの構築を行う。有効成分として、カロテノイド類であるルテイン及びゼアキサンチンが報告されていることから、平成23年度は、この2つの成分を含むカロテノイド類に着目し、効率的な有効成分の分別定量法の基礎的条件の確立を行うことを計画した。平成22年度までの予備的な実験では、C18カラム(AtlantisTM dC18カラム)とC30カラム(YMC Carotenoidカラム)の2つのカラムを用いてカロテノイド類の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析を行った。すなわち、C18カラムによりルテイン・ゼアキサンチン混合物、β-クリプトキサンチン、α-カロテン、β-カロテンを分別定量し、次いで、C30カラムを用いてルテインとゼアキサンチンを分離し、それぞれを定量した。しかし、この方法では、操作を2回繰り返す必要があり、かえって煩雑となる。2011年5月の学会発表においても、やはりこの点について指摘を受けた。そこで、平成23年度は、C30カラム1本を用いることにより、1回でカロテノイド化合物を分析できるような条件を検討した。まず、カロテノイド化合物を良好に分離するために、溶媒の種類、最適と思われる溶媒を用いた抽出方法について吟味した。その結果、メタノールを主溶媒として、酢酸エチルを15分から45分の間に0-20%に直線的濃度勾配により溶出する条件が、カロテノイド化合物の分別定量に最も適した方法であることが判明した。カラムから溶出された成分は450nmにおける吸光度を測定することにより検出した。流速は1.0ml/minである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成23年度は、標準のカロテノイド化合物の分離条件の検討の他、植物性食品をHPLCにて分析する際の前処理方法の検討も計画していた。植物性食品中のカロテノイド化合物の抽出方法としては、100%エタノールによる抽出の後、アセトン-ヘキサン(4:1, v/v)分配を検討したが、この方法では、HPLC分析の際の妨害物質となるクロロフィルをも抽出されたため、まだ抽出方法の確立ができていない。そこで、現在では、けん化などの方法で、クロロフィルを除去し、明確な分析結果が得られるよう試みている段階である。
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今後の研究の推進方策 |
現在、確立できていない植物性食品中のカロテノイドの抽出方法を確立する。まず、妨害物質の前処理方法の検討を行うが、処理による試料のロスが懸念されるため、内部標準物質を用い、回収率が90%以上となる方法を考案する。次いで、当初の計画の通り、野菜類及び果物類に含有するカロテノイド化合物の分別定量を実施する。対象とする食品には、大根、人参、キュウリ、柑橘類、りんごなどの一般的な野菜・果物に加え、小松菜、水菜、春菊、紫蘇、柿などの日本人がよく摂取するものを使用する。平成23年度に確立された分別定量法を用いて、植物性食品におけるカロテノイド化合物の存在量を明らかにする。なお、対象とする成分は、質量分析(MS)、核磁気共鳴法(NMR)、赤外吸収分析(IR)などにより同定してその存在の確認は慎重に行う。このようにして明らかにされた各食品における有効成分の存在量を一覧表にまとめる。
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次年度の研究費の使用計画 |
多種類の試料を速やかに抽出・分析を行うため、ホモジナイザーの購入を予定している。その他、HPLC分析に要する実験器具、試薬、食品試料に係る費用が予測される。また、謝金として、多種類の食品成分についての機器分析(MS, NMR, IR)の費用を計上している。また、旅費に関しては、研究の進捗状況の確認や実験に伴う研究打ち合わせ、研究に関する情報収集のための学会参加に係る費用を計上する。その他、消耗品費(USB対応メモリ、文具)、印刷・文献複写費を計上する。
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