本研究は、糖尿病ラットにスコポラミンを投与し、認知症モデルを作成後、脳海馬における脳内神経伝達物質セロトニン(5-HT)、および一酸化窒素(NO)を測定し、糖尿病と認知症のさらなる関係性の解明を目的とした。また、自発運動量、高架式十字迷路、Y字迷路、および摂食・摂水量など、糖尿病が認知症に及ぼす行動の変化についても調べた。これらの研究から、糖尿病状態は、さらに記憶の低下を招く一因となる可能性が示唆された。しかしながら、脳内神経伝達物質5-HTやNOには変化はみられず、糖尿病とスコポラミン誘発性認知症の間には、少なくとも5-HT3受容体、5-HT4受容体の関与は極めて低いことが示唆された。
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