研究概要 |
研究実施期間最終年度の平成24年度では、昨年度ヒト血液中から検出された食事由来エラスチンペプチド、Pro-Glyのより詳細な血中濃度変化と生理活性について調べた。またサメ軟骨加水分解物摂取後のヒト血中食事由来ペプチドの検出も試みた。 【方法】①被験者には試験開始12時間前の飲食を禁止して頂き、20代と50代それぞれ3名ずつの被験者にエラスチン加水分解物(25g/体重60kg)を摂取して頂いた。摂取から0.5, 1, 2, 4, 7時間後に採血し、血清を調製した。イオン交換樹脂によって血清からアミノ酸とペプチドを分離し、AccQ(6-aminoquinolyl-N-hydrosysuccinimidyl carbamate reagent)誘導化後LC-MSによってPro-Gly濃度の経時的変化を調べた。ヒト正常繊維芽細胞を培養し、培地中にPro-Glyを添加後、エラスチン合成をELISA法によって測定した。 ②エラスチン同様の方法で、サメ軟骨加水分解物摂取後の被験者から採血を行った。血清からアミノ酸・ペプチドを分離し、ゲル濾過カラム、疎水性カラムを使用してAccQ誘導化した食事由来ペプチドを分離した。 【結果】①エラスチン加水分解物摂取後、いずれの被験者も摂取から30分後に血中Pro-Glyが最大濃度(約25μM)に達し、4時間後まで検出されたが、7時間後には摂取前と同程度であった。また50代に比べて、20代の被験者において血中濃度が高い傾向にみられた。1μg/mL以上のPro-Gly添加によって線維芽細胞からのエラスチン合成が上昇した。 ②AccQ誘導化を導入したHPLC血中ペプチド分離の結果、サメ軟骨加水分解物摂取後の血液からは摂取前には検出されないピークが複数検出されたが、ペプチド配列の同定には至らなかった。このことから、検出ペプチドに糖が結合している可能性が考えられた。
|