研究課題/領域番号 |
23700947
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研究機関 | 独立行政法人国立健康・栄養研究所 |
研究代表者 |
竹林 純 独立行政法人国立健康・栄養研究所, 食品保健機能研究部食品分析研究室, 精度管理担当研究員(主任) (30421837)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | 抗酸化物質 / データベース / 食品 / ORAC |
研究概要 |
野菜・果物を中心とした食品に含まれる抗酸化物質は健康の維持・増進に大きく寄与することが期待されている。食品には多種類の抗酸化物質が含まれているが、「総量としてどの程度の抗酸化物質を摂取すれば健康を維持・増進できるか」について、現時点で確たる科学的根拠は得られていない。これまで研究代表者はORAC法を用い代表的な野菜・果物の抗酸化能を測定し、それらからの抗酸化物質一日摂取総量を推算してきた。本研究はそれをさらに発展させ、野菜・果物以外の食品を含む食事全体からの抗酸化物質摂取総量の推算を可能とするため、「食品の抗酸化能データベース」を構築することを目的とする。4年計画の1年目である当該年度は、広範な食品について抗酸化能の測定を行い、データ数の充足を図る計画であった。しかし、抗酸化能の測定法として用いるORAC法に以下の問題があることが明らかとなったので、その原因の究明および改良を行った。ORAC法では、食品から抗酸化物質を含む抽出液を作成し、そこに含まれている抗酸化物質の総量をTroloxの量に換算する。抽出液の抗酸化能が高い場合は適宜希釈した後に測定が行われるが、このとき採用した希釈倍率により、希釈前の抽出液の抗酸化能が異なる計算結果となる場合がある(抗酸化物質標準品を用いた検討では最大1.9倍の誤差が認められた)。これは、試験溶液の抗酸化能と抗酸化物質濃度との関係が非線形であることが原因であり、基準とするTroloxの濃度を決め希釈倍率を収束することで抽出液の抗酸化能が一定値となるよう改良を加えた。次年度以降は、この改良ORAC法を用いて当初の計画を達成できるよう研究を推進する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績の概要で述べたように、抗酸化能の測定法として用いるORAC法に問題点があることが明らかとなった。構築する「食品の抗酸化能データベース」の信頼性を確保するために、まずORAC法の問題点の原因解明および改良を行った。そのため、当初計画していた広範な食品について抗酸化能の測定は部分的にしか行えていない。次年度以降、改良したORAC法を用いて、当初の計画を達成できるよう研究を推進する。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画していた広範な食品についての抗酸化能測定は次年度も継続して実施する。食品の抗酸化能に及ぼす産地・季節・品種差の影響の把握についても併せて検討を行い、当初の計画を達成できるようエフォートを増して研究を推進する。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度広範な食品の抗酸化能測定が部分的にしか実施できなかったため、残りの研究費を次年度使用して研究を推進する。
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