研究課題/領域番号 |
23700947
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研究機関 | 独立行政法人国立健康・栄養研究所 |
研究代表者 |
竹林 純 独立行政法人国立健康・栄養研究所, 食品保健機能研究部食品分析研究室, 精度管理担当研究員(主任) (30421837)
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キーワード | 抗酸化物質 / データベース / 食品 / ORAC |
研究概要 |
野菜・果物を中心とした食品に含まれる抗酸化物質は健康の維持・増進に大きく寄与することが期待されている。食品には多種類の抗酸化物質が含まれているが、「総量としてどの程度の抗酸化物質を摂取すれば健康を維持・増進できるか」について、現時点では確たる科学的根拠は得られていない。これまで研究代表者はORAC法を用い代表的な野菜・果物の抗酸化能を測定し、それらからの抗酸化物質一日摂取総量を推算してきた。本研究はそれをさらに発展させ、野菜・果物以外の食品を含む食事全体からの抗酸化物質摂取総量の推算を可能とするため、「食品の抗酸化能データベース」を構築することを目的とする。 4年計画の2年目である当該年度は、まず、代表的な飲料のORAC値の測定を行った。茶飲料、野菜ジュース、果物ジュースのORAC値が7μmolトロロックス相当/mL程度であるのに対し、コーヒーのORAC値は50μmolトロロックス相当/mLで、他の飲料より高い傾向が認められた。国民健康・栄養調査の食品群別栄養素等摂取量に基づき計算すると、これら飲料からの抗酸化物質摂取量は一般的な野菜・果物からの抗酸化物質摂取量に匹敵すると考えられた。 次に、食品に含まれる抗酸化物質間の相互作用について解析するため、9種類の抗酸化物質の標準品を用いた検討を行った。2つの抗酸化物質溶液を混和した場合、概ね理論通りのORAC値が得られたが、1割程度の相乗・相殺作用が認められる組み合わせがあった。 最後に、ケーキをモデルとして調理の影響について予備的検討を行った。4種類のケーキを作成し、調理前と調理後のORAC値を比較した結果、調理による30-70%程度のORAC値の増加が認められた。これは水分の揮発だけでは説明できず、調理中に新たな抗酸化物質が生じている可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1年目に、抗酸化能の測定法として用いるORAC法にメソッドとしての問題点があることが明らかとなり、その原因究明および改良を行ったため、当初の研究計画よりやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画を達成できるように、引き続き食品の抗酸化力の測定を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
1~3年目で、抗酸化能データベースに収載する食品の抗酸化能データを収集する予定であったが、研究がやや遅れているため、研究期間である4年間を通してデータを収集し、データベースの拡充を図る。
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