本研究は奈良女子高等師範学校附属幼稚園(大正元年保育開始)の保育日誌等を基軸としつつ「生きものとの関わり」という視座をもって、幼児教育における実践の系譜を分析した。まず、保管されている全保育資料(大正から昭和初期の保育日誌や園籍、写真など)の電子化を行った。大正元年の保育日誌を分析した結果、当時より動植物を保育に取り入れ、子どもたちに実物を観察させることを重視する姿勢があったことが示された。昭和13年度の年長組の保育日誌の分析をした結果、保育者は子どもが見つけた生きものを題材として取り上げるなど、子どもと保育者と環境との協奏によって保育が展開されていく様子が明らかになった。
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