実物の放射線遮へい材を手に持ち、その遮へい固体材料内での電磁カスケートの発達の様子を、拡張感現実技術(AR)を用いることで可視化するシステムを開発した。EGS4により計算された3次元の電磁カスケードデータはほぼリアルタイムにUSBカメラから取得した画像上に直線上のCGとして上書して描かれる。学習者は実物の放射線遮へい材でできたブロックを手に持ちながら電磁カスケードを任意の角度から観察することができる。このシステムは科学体験イベント等に利用し、実演してきた。その結果、アンケートから90%の人が電磁カスケードを初めて見聞きした答え、また密度や重さ、そして入射エネルギーの違いにより、カスケードの発達が大きく異なることを理解するのにこのシステムは適しているという回答があった。しかしながら、子供たちの中にはガンマ線の入射方向がわかりづらいと感じていると数名のティーチングアシスタントから指摘を受けた。そこで、新機能として電磁カスケードの時間発展を描画する機能を追加した。これによりこのシステムは小中学生に対する放射線防護の指導教育ツールとして最適でかつ効果的となるように改良することができた。
|