研究課題/領域番号 |
23700975
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
島田 希 高知大学, 教育研究部人文社会科学系, 講師 (40506713)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | メンタリング / ミドル・リーダー / リフレクション / 教師教育 |
研究概要 |
本研究は、若手教師へのメンタリングを行うミドル・リーダーを支援することを目的として、ミドル・リーダーが自らのメンタリングの方法や内容を日常的に点検・評価するためのリフレクションシートを開発することを目指すものである。平成23年度における主な研究実績の概要は、以下の5点である。(1)米国および国内における先行研究をもとに、メンタリングを行うミドル・リーダーを支援するためのツールを分析し、その特徴を明らかにした。それにより、メンタリングを支援するツールの特徴として、(1)メンタリングの基盤となる信頼関係の構築、(2)構造化されたメンタリングの実施、(3)メンターとメンティー間のギャップの解消に資する工夫がなされていることを明らかにした。加えて、わが国においては、メンタリングの支援に焦点化したツールの開発が未だ十分に進んでいないという状況が改めて確認された。(2)上記(1)から導き出された知見をもとに、リフレクションシートを開発し、その活用方法について検討を行った。加えて、開発したリフレクションシートについて、教師教育の専門家から中間的な外部評価をうけた。(3)上記(1)(2)については、日本教育工学会第27回全国大会において、研究発表(「メンタリングを行うミドル・リーダーを支援するツールの特徴」)を行った。(4)本研究に関連する学会、研究会等に参加し、メンタリングに関する研究知見の収集につとめた。(5)平成24年度以降の調査計画を改めて点検し、その円滑な遂行を実現するための準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
若手教師へのメンタリングを行うミドル・リーダーを支援するために、ミドル・リーダーが自らのメンタリングの方法や内容を日常的に点検・評価するためのリフレクションシートを開発するという研究目的の達成にむけて、平成23年度においては、(1)国外および他の研究領域において開発されているメンタリングのためのツールの分析、(2)ミドル・リーダーによるメンタリングを支援するツールの開発、(3)研究知見の収集および研究成果の発表を研究実施計画としていた。以下、項目ごとに達成した研究内容を整理する。(1)米国および国内におけるメンタリングに関する先行知見を分析することにより、ミドル・リーダーを支援し得るツールの特徴を明らかにした。(2)上記(1)から導き出された知見をもとに、リフレクションシートを開発した。(3)日本教育工学会、日本教育方法学会に参加し、メンタリングに関する研究知見の収集および研究成果の発表を行った。このように平成23年度の研究計画については予定通り遂行している。加えて、平成24年度の研究にむけた準備も進めてきた。それゆえ、本研究の現在までの達成度について、「おおむね順調に進展している」と評価することができる。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度以降に推進する研究の主たる内容、方策は、以下の通りである。(1)平成23年度の研究において開発したリフレクションシートを小学校において若手教師のメンタリングを行うミドル・リーダー2~3名に活用してもらう。具体的には、大阪、高知等のミドル・リーダーの協力を得て、若手教師へのメンタリングの際に、リフレクションシートを活用してもらうことになっている。(2)リフレクションシートを活用したミドル・リーダーに、継続的にインタビュー調査を行う。そこでは、主に、(1)リフレクションシートの形式、(2)内容項目、(3)活用頻度とその方法についての聞き取りを行う。そこからリフレクションシートの形式および内容に関する利点と改善点を明らかにする。(3)平成23~24年度の研究成果をふまえ、最終的には、(1)リフレクションシートの形式、(2)内容項目、(3)活用頻度とその方法について必要に応じて修正を行い、リフレクションシートを完成させる。(4)リフレクションシートの修正から完成に至る過程において、教師教育等の専門家から外部評価(最終)を受ける。(5)上記(1)~(4)の取り組みから導き出された研究成果については、日本教育工学会、日本教師教育学会等において公表する。併せて、ショートレターや論文としてまとめ、投稿する。加えて、これらの関連学会およびけ研究会に参加し、メンタリングに関する研究知見の収集につとめる。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の研究費は、(1)物品費、(2)国内旅費、(3)外国旅費、(4)人件費・謝金、(5)その他について、次の通り、その使用を計画している。(1)物品費は:メンタリング関連の和書および洋書を購入する。(2)国内旅費:リフレクションシートを活用しているミドル・リーダーへの聞き取り調査、学会における研究発表、研究会等における知見、情報の収集に係る費用とする。(3)外国旅費(外国):平成23年度に資料収集を目的とした外国旅費を計上していたが、収集予定であった資料の一部をwebなどを通じて、獲得することができた。そのため、本研究の充実に資する他の資料や研究知見の収集に充てることが望ましいと考え、繰り越した。この繰り越した研究費については、平成24年度中に、資料収集のための外国旅費として使用する予定としている。(4)人件費・謝金については、本年度実施するミドル・リーダーへのインタビューの音声データを文字として起こす作業に係る必費用とする。(5)その他については、研究成果の発表に係る費用(学会参加費など)とする。
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