研究課題/領域番号 |
23700977
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研究機関 | 岩手県立大学 |
研究代表者 |
松田 浩一 岩手県立大学, ソフトウェア情報学部, 講師 (70325926)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 郷土芸能 / 角速度センサ / 技能 / 加速度センサ |
研究概要 |
本研究では,連動に着目した技能の抽出可視化のために,1. すり足動作の評価観点の抽出,2. 体重の上げ下げにおける技能の可視化,に取り組んだ.1. すり足動作の評価観点の抽出においては,両足の踵と膝に無線3軸角速度センサを装着し,指導者が評価する際に着目している要素の抽出と定量化について取り組んだ.その結果,指導者は,両足の踵の上げ下げのタイミングと量に着目していることが分かった.両かかとの上げ下げはほぼ同時に行われることが望ましいとされているが,良しとする許容範囲が80ms~160ms程度であることが分かった.この許容量は,指導者によっても異なることが予想されるが,指導者ごとの量を求めることが可能である.また,許容範囲が求まることによって,学習者に学習過程において,一歩ごとにリアルタイムで提示できる可能性が示唆された.2. 体重の上げ下げにおける技能の可視化においては,腰部に無線3軸加速度センサを装着し,加速度ベクトルの大きさの分析を行うことで技能の質の違いの提示に取り組んだ.その結果,指導者と学習者の違いの一つは,周波数成分の違いにあると分かった.全体的に小さく滑らかな動きをする指導者,全体的に大きくぎこちない動きをする学習者という主観評価に対して,動きの大きさは,加速度ベクトルの大きさの低周波成分の量が関係が深く,滑らかさについては,高周波成分の量と関係が深いことが分かった.特に,滑らかさにおいて,動きの軌跡を作るために指導者が体重移動の自然さを利用しているのに対して,学習者が力で支えている軌道を作っている様子が見られ,学習者が無駄な力を使っているという主観評価と高周波成分が結び付いていることが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
連動を主眼においた分析方法の確立を目指した結果,左右の足の連動に着目した分析を可能とした.しかし,目指していた膝や踵の連動においては予想していたほど複数の部位のデータの関係に特徴が現れず,特徴の現れた部分に絞った分析を行うこととなった.指導者は,全体を見て感覚的に違和感をとらえ,個別に指導を行っている.そのため,まず全体における傾向を定量化することを試み,良いという評価をする目安を見つけることができた.最終的には一歩ごとのデータの分析を行いたかったが,指導者は一歩ごとに評価をしているわけではなかったため,詳細な分析は困難であった.
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今後の研究の推進方策 |
すり足の分析について,時間的なズレによる分析はできたが,踵の上げ下げの量の分析は行えていない.そこで,上げ下げの質に関する検討を行う.また,一歩ごとのリアルタイム判定に向け,主観評価をするためのデータの取り方を検討する.
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次年度の研究費の使用計画 |
共同研究団体へのシステムの貸し出しを行い,定期的なデータ取得とフィードバックを行う.そのために,システムを一式新たに購入する.また,角速度・加速度センサは動きをとるに留まるため,質的な情報を取得する取り組みを行いたい.そのため,足圧センサや筋電センサを用い,昨年度分析できなかった特徴要素の発見を試みる.
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