研究課題
本研究の導入として、国内外で実施されたブレンディッドラーニングの実践、および、mラーニングなどで開発された携帯端末を対象とした自動採点フィードバック機能についての先行研究を調査し、整理した。先行研究を基に、ブレンディッドラーニング環境における自動採点フィードバック機能を実装したmラーニングシステムの開発を行った。具体的には、a)定期的にテスト課題を自動配信できる、b)解答を瞬時に採点する、c)携帯端末等で瞬時に結果のフィードバックが行える、d)携帯端末等で結果の履歴を確認できる機能を実装した。次に、開発したシステムを運用しながら評価を行った。テストは理解把握や後の学習に役立つという「改善」、自発的に学習を行うためのペースメーカーになるという「誘導」のテスト観を学習者に強く認識させることが、テストの影響をポジティブにさせる要因になることから、例えば、テスト観尺度(鈴木 2009)を用いた評価を行いながら学生のテスト観を把握し、テスト課題の指導法やその内容、それを配信するタイミング、テスト課題と学業成績の関連性などを追究し、対面授業を意識したテスト課題の効果的な位置づけについて明らかにした。得られた知見として、1)9割以上の学生が配信されたテストに取り組んだ、2)平均的にテスト配信後約6日後にテストに取り組む傾向が認められた、3)テスト接近傾向が高い学生は、テスト回避傾向が高い学生に比べて、テストの正答率が高いことなどが分かった。これらの知見から、ブレンディッドラーニング環境におけるmラーニングシステムからのテスト配信は、学生の授業時間外学習と知識定着の向上の支援となる可能性が示唆された。
2: おおむね順調に進展している
既存のeラーニングシステムを利用したmラーニングシステムの開発であったことから、当初の計画通りにシステム開発を行うことができた。また、授業におけるシステムの運用では、システムの不具合が生じず、予定通り評価を行うことができたため、概ね順調に進展していると判断した。
研究代表者の異動に伴い、学生の携帯端末の実態を把握したmラーニングシステムの開発を新たに行う。また、前年度と同様の調査分析を継続的に行うことのみならず、配信するテストの分量やテストの配信時期の妥当性について追究していきたい。
設備備品費(分析用パソコン):300千円、消耗品費(ソフトウェア、LANケーブル):200千円、国内旅費:100千円、外国旅費:300千円、謝金等(研究補助、外国語論文の校閲):50千円、その他(印刷費、研究成果投稿料):50千円
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大学入試研究ジャーナル
巻: 22 ページ: 163-171
Educational Technology Research, Japan Society for Educational Technology
巻: Vol.34 Nos.1・2 ページ: 181-193