研究課題/領域番号 |
23700980
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
宮原 一弘 名古屋市立大学, システム自然科学研究科, 助教 (90315903)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | eラーニング / 発声データ解析 / 音声認識 / 心理状態推定 |
研究概要 |
平成23年度は,学習者がeラーニングシステムによって学習している状況で発した発声データから,ため息や吐息を検出するシステムの検討・開発を中心に行ったがまとまった成果には至らなかった.1. まず,本研究実施の基盤となる実験環境の構築を行った.本研究費にて購入したLinuxサーバによってeラーニングシステムのサーバを構築し,PC2台を学習者が使用するクライアント機とした.このPCにはUSB接続によるヘッドセットを装着し,発声データの収集を行った.本年度は予備実験として研究代表者が被験者となり,収集したデータはリニアPCMとして保存している.2. 収集したデータから,ため息,吐息を検出するモジュールの開発は遅れており完成に至っていない.収集したデータに対してまずホワイトノイズの除去を行い,その後,発声データの存在する箇所のみを切り出し,タイムスタンプとともに保存する.その後に発声のタイプを周波数スペクトルや特徴量を定義するなどして特定する計画であったが,モジュールの完成には至らなかった.実験は原則として静寂な環境での実施なので,すべての発声データをため息,吐息,咳払いと仮定した上で研究を進めた.3.学習者の心理状態推定に関しては,次のようなデータを元にしたモデルを検討した.(1)発声の種類(ため息,吐息,咳払い).(2)発声の長さ.(3)発声回数の増減.(4)発声時間間隔.これらの組み合わせから"行き詰まり"や"疲労"といったモデル構築を行ったが,収集したデータとの照合やそれを実行するモジュールの開発には至っていない.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成23年度は計画の半分程度の達成度であった.ひとつは研究代表者が音声認識を専門としないため,その基礎理論の習得から取りかかったためである.年度後半に行った予備実験についても所属機関の学生による実施を予定していたが,実験環境の構築が遅れたことと,代表者が体調を崩したことが重なり,実施ができなかった.
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は,まず遅れている発生データ処理システムの完成を目指す.現在利用可能なデータから周波数特性の解析等を試み,ため息,吐息,咳払いといった発声の特徴量抽出や音響モデル構築を行う.次いで,それらを連続した発声データから検出するシステムモジュールの開発を行う.同時に,所属機関の学生による実験を早急に行い,検証のためのデータを収集する.実験においては,学習中のマイク入力をすべて録音し,すべての学習が終了した後に,発声データ処理モジュールでため息の検出を試みる.学習中の様子はすべてビデオ撮影・記録しておき,それを被験者と一緒に確認しつつインタビューを行う.内容は,(1)システムがため息を検出した箇所の確認,(2)そのときにシステムが推定した心理状態,(3)実際にはどのような心理状態であったかを被験者に確認,といった3項目であり,ここから各モデルの妥当性を検証する.
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次年度の研究費の使用計画 |
「現在までの達成度」にも書いた事由により,年度後半に予定していた実験を行うことができなかったため,被験者への謝金支払いが発生しなかった.また,同様の事由で2件の学会への出席をキャンセルせざるを得なかった.次年度の研究費では,新たな機器の購入は予定しておらず,実験実施用のeラーニング学習教材の購入と被験者への謝金,学会出席旅費を主な支出項目として予定している.
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