研究課題/領域番号 |
23700980
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
宮原 一弘 名古屋市立大学, システム自然科学研究科, 助教 (90315903)
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キーワード | 心理状態推定 / 音声認識 / ため息 / eラーニング |
研究概要 |
平成25年度ではこれまでに引き続き,学習者がeラーニングシステムを利用して学習を行っている状況下で発した発声データを解析するシステムの検討・開発を行った.加えて,それらのデータから学習者の心理状態を推定するモデルの検討を行った. 1. 研究代表者自身や協力者の日常作業時ならびにeラーニング学習時の発声データを収集し,ため息,吐息,咳払いといった特徴を持つ部分を検出,カウントするシステムの開発を行った.収集したデータはリニアPCM形式で,そこから以下の手順で特徴を抽出した.(1) データからのノイズ除去,(2) 一定レベル値以上の発生が確認できる箇所の切り出し,(3) 周波数スペクトルや特徴量による発生タイプの特定,といったシステムの枠組みを作成した.しかし,(3)については認識アルゴリズムの検討のみに終わり,システムへの実装は未完成といった状況である. 2. 学習者の心理状態推定に関しては,次のようなデータを元にしたモデルを検討した.(1)発声の種類(ため息,吐息,咳払い),(2)発声の長さ,(3)発声回数の増減,(4)発声時間間隔,これらの組み合わせから“行き詰まり”や“疲労”といったモデル構築を行ったが,収集したデータとの照合やそれを実行するモジュールの開発には至っていない.以上より,具体的な研究実績の発表には至っていないのが現状である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者が音声認識(信号処理)を専門としないため,理論の習得や開発に時間を要している.また同様の理由で,プログラム作成についても問題発生時の解決に時間を要している.
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今後の研究の推進方策 |
次年度前半までに,発声データ処理システムの完成を目指す.現在利用可能なデータから周波数特性の解析等を試み,ため息,吐息,咳払いといった発声の特徴量抽出や音響モデル構築を行う.次いで,それらを連続した長時間の発声データから検出するシステムモジュールの開発を行う.その後,学習者の心理状態推定システムの完成を目指す. 後半では,研究代表者所属機関の学生による実験を行い,データを収集する.実験においては,学習中のマイク入力をすべて録音し,すべての学習が終了した後に,発声データ処理モジュールでため息,吐息等の検出を試みる.学習中の様子はすべてビデオ撮影・記録しておき,それを被験者と共に確認しつつインタビューを行う.内容は,(1)システムがため息を検出した箇所の確認,(2)そのときにシステムが推定した心理状態,(3)実際にはどのような心理状態であったかを被験者に確認,といった3項目であり,ここから各モデルの妥当性を検証していく.
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度は研究の遅れに伴って,予定していた実験を行う状況になく,被験者への謝金支払いが発生しなかった.また学会発表も行うことができず,研究費に残額が発生した.その結果として,3月に事業期間延長を願い出て認められたため平成26年度も研究を継続することとなった. 次年度の研究費では,研究に要する通常消耗品の他,実験遂行用のeラーニング学習教材の購入と被験者への謝金,学会出席旅費を主な支出項目として予定している.
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