「情報活用型授業」とは、情報の読み取り方やまとめ方、伝え方に着目した授業である。最終年度では、「情報活用型授業デザインシート」を教員研修の実施結果をもとに改善・評価した。本シートは、通常の学習指導案を代替するものである。一般的な「導入」「展開」「まとめ」の流れに対して、特に展開部分を学習者の情報行動をデザインする要素として「取り扱う情報」「情報の扱い方の指導」「情報活用を伴った学習活動」「情報活用を深める・高め合う」の4つの項目からなる「コア・アクティヴィティ欄」とした。その右側に「導入」「展開」部分を配置し、「展開」を重点的に記入しやすいよう配慮した。あわせて、児童の情報活用の成果物イメージを記入する欄と、情報活用に関する評価基準を記入する欄を設けることで、学習活動の質を保証しやすいよう工夫している。加えて、各要素を記入する際、情報活用を意識して検討しやすいように22項目からなる「ヒント集」を用意し、参照しながら設計できるようにした。 授業デザインシートを用いた教員研修プログラムを3年間で23回に渡り、全国で実施した。研修プログラムは会場により時間の幅は異なるが、次の3段階で実施した。(1)講義(講義形式で情報活用型授業について説明し、情報の集め方、まとめ方、伝え方それぞれの段階について実践事例や関連教材を紹介する (2)授業案検討(グループに分かれ、教科・単元を決め、授業案を検討し、授業デザインシートに記入する (3)報告(各グループの成果を発表し、授業デザインの工夫点等を交流する) 以上の取り組みの結果、情報活用の実践力を育成する授業設計方法としての「情報活用型授業」の概念が明確になるとともに、その育成を意図した教員研修プログラムを開発することができた。また、これらの成果をウェブサイトに公開した。
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