研究課題/領域番号 |
23700983
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研究機関 | 放送大学 |
研究代表者 |
森本 容介 放送大学, ICT活用・遠隔教育センター, 准教授 (00435702)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 学習オブジェクトリポジトリ / 学習管理システム |
研究概要 |
近年のOER活動(Open Educational Resources Movement)に代表されるように、学習資源をインターネットで公開する取り組みが広く行われている。また、これらの学習オブジェクトリポジトリへの蓄積も進んでいる。しかし、平成22年度に放送大学が行った調査によると、コンテンツの共有を行っている大学学部・研究科の割合は11.9%と少ない。一方で、学習管理システムは多くの大学で利用されている。このため、学習管理システムから、学習オブジェクトリポジトリの利用を行える環境を整えることが、学習資源の共有・再利用に有用であると考えられる。そこで、平成23年度は、学習オブジェクトリポジトリと学習管理システムの連携へ向けての調査と、プロトタイプシステムの開発を行った。これを実現するためには、学習オブジェクトリポジトリ側と学習管理システム側のそれぞれに、連携の仕組みが必要である。まず、研究代表者らが開発・運用する学習オブジェクトリポジトリに対して、外部から検索できるWeb APIを開発した。本Web APIは、検索キーワードのほか、ほぼすべてのメタデータ項目を指定しての検索が行える。次に、学習管理システムから学習オブジェクトリポジトリの学習資源を検索できる機能を開発した。学習管理システムは、現在もっとも広く用いられているMoodleを対象とした。「他の教員の講義を参考にする」、「OERを自身のコースで利用する」、「自身のコースから参考情報へのリンクを張る」など、いくつかのユースケースを想定し、それらを満たす機能の検討を行った。本機能は、具体的には、Moodleのリポジトリプラグインとして実装を行った。また、品質情報や権利情報の保持方法、取り扱い方法の検討を進めた。これらは、検索の際やエクスポート機能を実装する際に有用となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
考案したシステムの実現へ向けての調査、検討を進め、Web APIの開発、および学習管理システムのプラグインモジュールとしてのプロトタイプシステムの開発までを行った。品質情報や権利情報の扱いに関して、プロトタイプシステムへの実装までは至らなかったため、これらを次年度に行う。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度の調査研究において、独自規格のWeb APIを用いた、研究者らが運用する学習オブジェクトリポジトリのみへの対応だけではなく、標準規格への対応が必要であることを認識した。たとえばOpenSearchプロトコルの実装を行えば、多くのリポジトリへ対応することが可能となる。ただし、その際には、メタデータ項目の対応付けなどの作業が必要である。これまでの研究予定内容に加え、この件についてもさらに調査を行い、実装を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
プロトタイプシステムを実用的なシステムとするため、ユーザインタフェースや追加機能に関して、委託開発を行う。学習オブジェクトリポジトリ側は、OpenSearchなどの標準規格へ対応するかの検討を行い、実装する場合には一部の機能の委託開発を行う。また、学会の研究会等において、研究成果の公表を行う。
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