研究課題/領域番号 |
23700983
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研究機関 | 放送大学 |
研究代表者 |
森本 容介 放送大学, ICT活用・遠隔教育センター, 准教授 (00435702)
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キーワード | 学習オブジェクトリポジトリ / 学習管理システム |
研究概要 |
教育・学習コンテンツの共有・再利用が広く行われる状況にはなっていない一方で、大学等において学習管理システムの導入が進んでいる。そこで、教育・学習コンテンツの再利用を促進するため、学習オブジェクトリポジトリと学習管理システムを組み合わせた支援環境の構築を行っている。前年度までに、学習オブジェクトリポジトリを外部から検索できるWeb APIを開発した。 本年度は、学習管理システムから学習オブジェクトリポジトリのメタデータを検索し、その結果を利用できる機能の開発を行った。本機能は、オープンソースの学習管理システムであるMoodleを対象とし、Moodle 2.xから導入された「リポジトリプラグイン」として実装した。本プラグインは、主に2通りの利用方法を想定している。1つ目は、自身のコースから補足情報等を参照するために、教育・学習コンテンツを検索する使い方である。この場合、検索したコンテンツへのパイパーリンクをコースへ設置することができる。2つ目は、コースの中で素材として利用するためにOERを検索する使い方である。この場合、検索したコンテンツをコースへ取り込むことができる。なお、後者の対象は、写真やSCORMパッケージのような単体のファイルであり、Creative Commons Licenseが適用されたコンテンツのみに制限される。これらの条件付き検索の実現には、学習オブジェクトリポジトリが管理するメタデータの、「内容のまとまり」(粒度)や「ライセンス」の項目が使われる。 また、学習オブジェクトリポジトリ側には、コンテキスト情報を扱えるように、メタデータ(データベーススキーマ)の拡張を行った。コンテキスト情報は、本研究で利用しているメタデータの標準であるLOMでは、「8. Annotation」へ対応付けることができる。 これらの成果を掲載するWebサイトの製作も進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度までに、学習管理システムからの学習オブジェクトリポジトリの検索と、その結果の利用が実現できた。 コンテンツのエクスポート機能に関しては、様々な実践を調査し、仕様を再検討した。特定の学習オブジェクトリポジトリに特化した開発を行うよりは、汎用的に利用できる形式での出力機能を開発することが望ましいと考えた。仕様策定まではほぼ完了しており、次年度に技術的な詳細を研究した上で開発を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度の前半までを目処に必要な開発を終える。具体的には、学習資源を組み合わせて製作したコースを、エクスポートする機能を新規開発する。このため、それぞれの学習資源が持つ情報(メタデータ)の取り扱いや、種類の異なる学習資源の組み合わせ方法に関して研究を行う。また、これまでに開発したシステムへ必要な改修を行う。これには、ベースとなる学習管理システム(Moodle)のバージョンアップによって必要となった検索プラグインの改修や、コンテキスト情報の扱いに関する学習オブジェクトリポジトリの改修が含まれる。 平成25年度の後半は、システム全体の技術的な詳細や利用シーンなどをまとめ、Webサイトや学会の研究会等において研究成果の公表を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
学習管理システムのコースのエクスポート機能は、委託開発を行う。 また、システム運用のため、サーバを1台購入する。 その他は、研究の進展に応じて、情報収集のための研究会参加費や成果発表のための経費として使用する予定である。
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