研究課題/領域番号 |
23700984
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研究機関 | 実践女子大学 |
研究代表者 |
松下 慶太 実践女子大学, 人間社会学部, 講師 (80422913)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 学習 / ネットワーク / サードプレイス / 成長 / ソーシャル・キャピタル |
研究概要 |
2011年度はフィールドとして予定している「勉強カフェ」についての事前調査を行い、その組織としての成り立ち、そこで行われている学習の内容、そこに集まってくる社会人のプロフィールなどの確認を行った。また「勉強カフェ」以外にも同様の場として渋谷で展開する「シブヤ大学」、池袋で展開する「おとな大学」などに関しても調査を行った。調査を通じて、「勉強カフェ」の特徴として見られた個人が学習目標として、一定の学習目標を設定し、それに向けて勉強すると言うよりも、さまざまな意見・体験を共有すること自体が学習の目標になっていることが特徴として挙げられた。また、事前調査と並行して、「学び」のイメージについての理論的な準備のために、成人の学びについて学習論、生涯学習論、組織学習論などを中心に理論的なレビューを行った。社会人の学習と成長について、企業の外で起こる学習が重要であり、そのための空間としてオルデンバーグが指摘する「サードプレイス」が学習においても有効な概念になりうることを確認した。こうした「サードプレイス」で起こる学習において重要なのは、各人の「個人的な努力」ではなく、社会ネットワークによって、それぞれが刺激し、モチベーションが高まることが学習につながっていることが示唆された。これはソーシャルキャピタル論の「強い紐帯」でも「弱い紐帯」でもない、位置づけができるとかんがえられる。そういった意味で、個人と社会的ネットワークによって形成される集団との往復こそが、社会人の学びにおいてこれまで見落とされがちだが、重要な要素であると言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在まで、生涯学習、組織学習など大人の学びに関する学習理論の整理を行った。この部分は、概ね達成できていると考える。一方で、実際にフィールドでのインタビュー調査に関しては、予定通りに実施することは出来ず、作業としては遅れ気味になっている。その理由として、交付金額、時期の遅れから、インタビューなど実施調査を予定の日程から延期し、再度調整をしていることがある。そのため、研究計画にある実際のフィールドでの調査と理論的な予備研究の順番を入れ替えることで対応した。
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今後の研究の推進方策 |
2011年度で行った理論的なレビューを元に「勉強カフェ」に参加している社会人へのインタビュー調査を進め、その結果を元にネットワーク分析と合わせながら、ネットワークの形成と維持がどのようになされているのか、またネットワークに参加する各個人が学習をどのように達成しているのかのメカニズムの解明を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
「勉強カフェ」に参加している社会人へのインタビューを実施するにあたっての謝礼、インタビューを記録するためのメディア関連費、ネットワーク分析に関する人件費・情報機器に関する費用を計画通りに使用していく予定である。
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