研究課題/領域番号 |
23700988
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研究機関 | 星薬科大学 |
研究代表者 |
吉澤 小百合 星薬科大学, 薬学部, 講師 (50528057)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | ピアリヴュー / 教授学習支援 / 科学的思考力 / 英作文教育 |
研究概要 |
論理的構成が整った文書を英語で作成する能力を育成することは、英語を専門としない理科系の大学生にとって、学術成果の国際発信と今後の科学振興のために極めて重要である。代表者は、この目的で、教育現場における批判的思考力と表現力の向上策として効果があるとされているピアリヴュー活動を授業に導入し、ピアリヴュー・システムの構築の際に鍵となる、エッセイ作成時に発生し得る問題の分析を行った。作文を日本語と英語の両方で書かせ、エッセイ作成時に起こりやすい問題があるかを検証し、この際に、被験者の専門分野に関連した内容、関連しない内容など、課題の違いによるピアリヴューの効果も分析した。ピアリヴュー活動の訓練のひとつとして、エッセイの論理構成の問題発見を補助することを目的としたチェックリストを作成し、その効果について検証し、米国で開催された国際会議で発表した。その他に、リヴューアの人数の違い(1対1、1対2、1対3)によって、成果物にどのような違いが現れるかを見いだすための実験を引き続き行い、その結果を発表した。また、以前から継続して行っていた、正規化圧縮距離を用いた成果物の分類の研究成果に関しては、米国の国際雑誌にも掲載された。これまでの研究成果は、国際会議や国内の学会、研究会及び雑誌等で既に発表している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究分野の違う被験者同士のリヴューの実験とその分析はまだ十分とは言えないが、以下の実験分析を既に行っており、ほぼ計画通りに進んでいる。・ピアリヴュー活動を授業に導入し、エッセイ作成時に発生し得る問題の分析・エッセイを日本語と英語の両方で書かせ、作成時に起こりやすい問題の検証・被験者の専門と課題内容の相違によるピアリヴューの効果の分析・リヴューアの人数の違いによる成果物の結果の検証
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今後の研究の推進方策 |
電子掲示板でのリヴューと従来のピアリヴューでのコメントを比較し、デジタルメディアを導入した際の学習効果を分析する。また、リアルタイムで会話ができるチャットシステムを活用し、対話記録のテキスト分析を行う。現在、研究計画にはなかった、ピクトグラム・ネットワークを使った、新たなピアリヴュー法の実験を進めているが、iPadを使って実験ができるような方法を考えている。今後は、ブログやツイッター等のソーシャルメディアを利用したリヴューを行い、リヴューの過程を公開することによって、異なる分野の学習者が参加しやすい環境におけるピアリヴューの効果や公開することの効果、メディアの特性である匿名性の程度による学習効果等を分析する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
主に、国際会議や国内の学会での研究成果発表のための旅費と参加費に研究費を使用する予定である。その他には、ソーシャルメディアの専門家との研究打ち合わせ旅費、被験者への謝金、資料共有用のネットワークサーバや消耗品に使用する予定である。
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