最終年度は交流実践に参加した社会人の参加動機や、大学生との交流実践による社会人参加者の学びの内容について調査を行った。前年度の研究では、社会人との交流実践では大学生の自己効力感が有意に向上するが社会人はそうではなく、交流実践に参加する社会人の参加動機や学習をどう担保するかが課題であることが明らかとなった。 社会人の参加動機や交流実践による学習については、本研究による実践に加え、他実践への参加者も含めて分析を行った。分析の対象としたのは、Facebookを用いて2週間にわたり高校生が自らの進路選択に関するキャリア学習を行うSoclaプロジェクトである。Soclaプロジェクトに高校生の学習の支援者として参加したボランティアサポーター10名に対し、半構造化インタビュー調査を実施し、その内容をグラウンデッドセオリーアプローチによって分析した。 分析の結果、社会人の参加者は高校生が自ら様々な情報を収集し、進路を見出していく様子にやりがいと参加意義を感じていることがわかった。SNSによってその過程が可視化されることも、やりがいを高めていた。また、社会人自身がこれまでに培った経験やネットワークをそのまま活かして支援することができる点も、社会人を活動に参加しやすくしていた。分析結果は日本教育工学会全国大会で報告を行った。 また、3月10日には成果報告を兼ねた大学生と社会人との交流実践を行った。女子大生の採用とキャリアをテーマとし、女子大生と社会人とが意見交換を行った。女子大生と社会人とで女性が働きやすい職場を考える内容であったため、女子大生と社会人との対話は促進された。長期の交流実践では高校生や大学生の成長が社会人のやりがいとなるが、短期の交流実践では大学生の学ぶ専門知識と社会人の社会経験とを組み合わせて問題解決を話し合うテーマ設定が大学生と社会人との対話に有用であることが示唆された。
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