研究課題/領域番号 |
23700995
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
八重樫 文 立命館大学, 経営学部, 准教授 (40318647)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 分散協調教育システム / PBL / 高機能携帯端末 / User-Centered Design |
研究概要 |
申請者らの先行研究から、PBL(Project-based Learning)を行うグループ内の学習者個人間に加えて、グループ間における相互のモニタリングが分散環境で適切に確保されていることが、高等教育におけるPBL の学習環境デザイン要件のひとつとして重要であることが明らかになっている。また、近年、スマートフォン等の高機能携帯端末の普及により、時間と場所を問わず他者との情報交換・共有や、情報編集・統合作業が簡易に行えるようになっている。 そこで、本研究では、このような高機能携帯端末の特性を利用して、分散環境にてPBLを行う学習者グループ間の相互モニタリングが促進され、グループを横断した能動的なコミュニケーションを誘発するようなPBL支援ソフトウェアの開発を行う。このソフトウェアにおいてPBL活動の文脈に適したユーザビリティを実現するために、UCD(User-Centered Design)プロセスに基づいたデザインプロセスを適用することに本研究の特徴がある。平成23年度の成果は以下の2点である。 1.関連先行研究の調査 平成23年6月には国際学会ED-MEDIA2011に参加し、関連研究の情報収集を行った。また、UCDおよび、そのプロセスを製品開発やイノベーション分野に活用している「デザイン思考(Design Thinking)」に関する研究および実践事例の分析を行い、本研究にて採用するUser-Centered Designプロセスの整理を行った。 2.User-Centered Designに基づいたソフトウェア・インタフェースの仕様検討 1,にて整理を行ったUser-Centered Designプロセスを採用したソフトウェア・インタフェースの仕様検討を行い、現在このプロセスを実行しソフトウェアのプロトタイプ開発に従事しているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は、ソフトウェア・インタフェースの仕様検討だけでなく、その仕様を実装したプロトタイプの開発まで行う予定であったが、関連先行研究の文献調査およびそのまとめに時間をかけたため、現在予定より若干の遅れをとっている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は以下の3点を行う。1.プロトタイプ開発とユーザーテスト:策定した仕様に基づきソフトウェアのプロトタイプを開発し、稼働試験を行い、実現可能性を検証する。2.実用版ソフトウェアの開発:プロトタイプの稼働試験結果を受けて、高等教育現場での実証実験に耐えうるレベルのシステムを開発する。3.授業実践における評価:開発したソフトウェアについて、大学において実際のPBL活動を行う実践授業を通してその有効性を検証する。実験対象は専門特化した授業形態ではなく、一般的な課題探究型のグループワークが行われる授業をフィールドとする。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は、以下の3点において研究費を使用する予定である。1.ソフトウェア開発費:ソフトウェアを開発するために、申請者は工程管理およびユーザインタフェースデザインを行い、詳細機能実装・サーバ設定等は外部業者に委託する。このため開発委託経費が発生する。2.稼働試験に関する経費:稼働試験は、単なるシステム実働の検証ではなく、大学授業にて少数の学習者に協力してもらい、ユーザテストを実施し形成的評価を行う。このために謝金、稼動試験の打合せ・調査旅費が発生する。3.研究のまとめ・報告に関する経費:授業実践の観察記録ビデオや発話プロトコルの分析にあたり、学生にデータ整理の協力を依頼するため謝金を必要とする。また研究報告のため学会旅費が発生する。
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