研究課題/領域番号 |
23700995
|
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
八重樫 文 立命館大学, 経営学部, 准教授 (40318647)
|
キーワード | 分散協調教育システム / PBL / 高機能携帯端末 / User-Centered Design / Design Thinking |
研究概要 |
申請者らの先行研究から、PBL(Project-based Learning)を行うグループ内の学習者個人間に加えて、グループ間における相互のモニタリングが分散環境で適切に確保されていることが、高等教育におけるPBL の学習環境デザイン要件のひとつとして重要であることが明らかになっている。また、近年、スマートフォン等の高機能携帯端末の普及により、時間と場所を問わず他者との情報交換・共有や、情報編集・統合作業が簡易に行えるようになっている。 そこで本研究では、このような高機能携帯端末の特性を利用して、分散環境にてPBLを行う学習者グループ間の相互モニタリングが促進され、グループを横断した能動的なコミュニケーションを誘発するようなPBL支援ソフトウェアの開発を行う。このソフトウェアにおいてPBL活動の文脈に適したユーザビリティを実現するために、UCD(User-Centered Design)プロセスおよび、「Design Thinking(デザイン思考)」法に基づいたデザインプロセスを適用することに本研究の特徴がある。 平成24年度の成果は以下の2点である。 1.UCDおよびDesign Thinkingに基づいたデザインプロセスを適用したソフトウェア・インタフェースの仕様検討およびプロトタイプの開発(この開発過程について、日本教育工学会第28回大会にて報告した)。 2.プロトタイプの稼働試験:平成24年度にソフトウェアの仕様を確定し、開発を完了するとともに評価を行う予定であったが、この仕様検討段階でのプロトタイプ稼働試験において問題や課題が多く見つかり、仕様確定に当初より時間をかけることとなり、実用版ソフトウェアの開発と評価は次年度に延長した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成24年度にソフトウェアの仕様を確定し、開発を完了するとともに評価を行う予定であったが、仕様検討段階でのシミュレーションやユーザテストにおいて問題や課題が多く見つかり、仕様確定に当初より時間をかけることとなった。このため、ソフトウェアの開発・実装および評価を次年度に行うこととする。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は以下の2点を行う。 1.実用版ソフトウェアの開発:プロトタイプの稼働試験結果を受けて、高等教育現場での実証実験に耐えうるレベルのシステムを開発する。 2.授業実践における評価:開発したソフトウェアについて、大学において実際のPBL活動を行う実践授業を通してその有効性を検証する。実験対象は専門特化した授業形態ではなく、一般的な課題探究型のグループワークが行われる授業をフィールドとする。
|
次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度に完了を予定していた研究計画を継続するため、24年度と同様に25年度も以下の3点において研究費を使用する予定である。 1.ソフトウェア開発費:ソフトウェアを開発するために、申請者は工程管理およびユーザインタフェースデザインを行い、詳細機能実装・サーバ設定等は外部業者に委託する。このため開発委託経費が発生する。 2.稼働試験に関する経費:稼働試験は、単なるシステム実働の検証ではなく、大学授業にて少数の学習者に協力してもらい、ユーザテストを実施し形成的評価を行う。このために謝金、稼動試験の打合せ・調査旅費が発生する。 3.研究のまとめ・報告に関する経費:授業実践の観察記録ビデオや発話プロトコルの分析にあたり、学生にデータ整理の協力を依頼するため謝金を必要とする。また研究報告のため学会旅費が発生する。
|