本研究は、高等教育において高機能携帯端末の特性(時間と場所を問わず他者との情報交換・共有や、情報編集・統合作業が簡易に行えること)を利用した、分散・非対面環境ににおけるPBL(Project-based Learning)支援ソフトウェアの開発を行うものである。このソフトウェアにおいて、PBLを行う学習者グループ間の相互モニタリングが促進され、グループを横断した能動的なコミュニケーションを誘発するようなユーザビリティを実現するために、UCD(User-Centered Design)およびDesign Thinkingに基づいたデザインマネジメントプロセスを適用することに本研究の特徴がある。本研究の成果は以下の通りである。 1.関連先行研究の調査:国際学会ED-MEDIA2011に参加し、関連研究の情報収集を行った。また、UCDおよび、そのプロセスを製品開発やイノベーション・マネジメント分野に活用している「デザイン思考(Design Thinking)」に関する研究および実践事例の分析を行い、本研究にて採用するデザインプロセスの整理を行った。 2.プロトタイプ開発とユーザーテスト:1にて整理を行ったデザインプロセスを採用したソフトウェア・インタフェースの仕様策定を行い、プロトタイプの開発を行った。また、大学授業にて少数の学習者に協力してもらい、ユーザテストを実施し形成的評価を行い、プロトタイプの漸進的改善を行った(日本教育工学会第28回大会、第29回大会にて発表)。 3. 実用版ソフトウェアの開発:プロトタイプの稼働試験結果を受けて、高等教育現場での実証実験に耐えうるレベルのシステム開発を行った。
|