本研究では,ユーザの語彙力に適応してWebページ内の語句に言語情報を同時複合的に注釈するシステムを提案する.本研究の目的は,Webページの読解中に生じる未習あるいは想起困難な語句による悪影響を低減させることにより,Webページの読解を支援すること,および,その過程で獲得したユーザの語彙力や語句の難易度を外部に提供することにより,それらの再利用性を高めることである. 2011年度は,ユーザの語彙力に適応してWebページのテキストに読みを注釈するシステムを提案し,擬似的なユーザによるシミュレーションにより評価した. 2012年度は,読みだけでなく,品詞や意味など言語情報全般を注釈するためのシステムを提案し,従来手法との性能比較により評価した.また,SCORMに準拠したSCOとして提供する機能も導入することにより,ユーザが閲覧した言語情報の履歴をLMSに記録できるようにした. 研究期間全体では,計画していた三つの課題のうち,(1)項目反応データの構成と獲得については,項目反応データの獲得だけにとどまってしまい,それを構成するまでには至らなかった.(2)外部システムへの情報提供については,SCORMに準拠したSCOとして提供する機能を導入することで解決することができた.(3)ソーシャルに収集したユーザの操作履歴に適した推定方法については,ユーザの操作履歴を取得するところでとどまってしまい,推定方法を提案するまでには至らなかった. 以上の成果は,国際会議2件(2012年度1件),国内会議4件(2012年度3件)で発表した.
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