研究課題/領域番号 |
23701000
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
乙武 北斗 福岡大学, 工学部, 助教 (20580179)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 文書校正 / 文法誤り / 教育応用 |
研究概要 |
申請者はこれまでに,統一されたアルゴリズムを用いた英語の冠詞および前置詞誤りを自動校正する手法について研究を行ってきた.現在,これら誤りは8割以上の精度で校正可能であることが,実験によって明らかとなっている.また,ウェブ上に公開するためのインターフェイス,および結果とともに例文を提示する機能は実装済みである.しかしながら,前置詞誤り校正のRecall性能が約3割であることから,実用のためには性能向上の必要があると考えられる.さらに,申請者が以前行ったアンケート調査より,現在のシステムは処理速度の面で課題があることもわかっている.当該年度では,これらの手法の性能向上を図ることを目的とし,英語冠詞誤りの自動校正システムの再設計を行った.その際,Web公開用兼計算用サーバマシンを利用し,従来よりも冠詞選択の規則抽出量を大幅に増加させたうえでシステムの構築を行った.また,その規則には従来よりも深い意味解析による単語意味情報を付与しており,精度の改善を図っている.加えて,大量の規則を保存・検索するために高速ストレージデバイスを用いたことで,従来のシステムよりも実用的な時間で校正結果を出力することが可能となった.しかしながら,性能評価実験の結果は従来と比較して特に優位性が認められるものではなく,データ量の増加の効果は確認できなかった.意味情報の付与による精度改善は確認でき,従来よりも深い意味解析による意味情報の付与は僅かではあるが有効性が確認できた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当該年度では,従来の英語冠詞・前置詞誤りの自動校正システムの性能向上だけでなく,英語の単数・複数形の誤用,動詞‐名詞のつながり誤り,形容詞‐名詞のつながり誤りを対象とした自動校正手法の設計を行う計画であった.加えて,日本語の助詞誤り,同音異義語誤りについても英語の場合と同一のアルゴリズムを用いた自動校正手法の設計を行う計画であった.その中で,英語の冠詞誤り校正システムの性能向上の有効性が僅かしか確認できず,続く他のシステム設計に影響が出ている.
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今後の研究の推進方策 |
現在,誤り校正の評価型ワークショップへの参加を決定しており,そこで英語前置詞誤り,および主語―動詞の一致誤りの自動校正システムの設計を行う予定である.また,当初の計画にある統合的な誤り校正システムの構築の一環として,前述した2つのシステムと冠詞誤り校正システムを組み合わせたものを,ウェブ上に公開することを考えている.その後,校正理由提示手法の開発ということで,現在の例文提示手法を拡張し,校正に用いるルールをユーザに可視化させる手法を開発する.その際には,どのように提示すればユーザにとってわかりやすく,有用であるかが重要であるため,アンケートによる印象評価実験を並行して行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
当該年度において,研究費の入金が分割されたため,Web公開・計算用サーバを当初予定していた仕様から若干能力を落としたものに変更している.そのため,次年度においては,当該年度から生じた研究費を用いて,計算用の追加デバイスを購入する予定である.また,当初の計画の通り,高速ストレージデバイスの費用,および個々の校正手法および校正理由提示手法の成果を公表するため,国内および国外において成果公表を行うための費用を計上している.
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