研究課題/領域番号 |
23701005
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
川本 思心 東京工業大学, 理工学研究科, 特任助教 (90593046)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | コミュニケーション教育 |
研究概要 |
本研究の目的は、理工系学生のコミュニケーション能力の向上と、学校教員の理科授業力の向上を目指す事である。このために、理工系大学院生が自らの専門知をいかした理科教育教材等を協働で作成する教育プログラムを開発する。また、本研究の特色は概念ネットワーク等を用いた学習評価方法の開発を行う点にもある。本研究の実施には、データ収集と教育実践の場のためのフィールドが必要不可欠である。そのため、平成23年度は、東工大大学院科目「科学技術コミュニケーションと教育」と、この科目と連携して開催される大田区教育委員会の教員研修、および同大学院科目「サイエンスカフェ―組織と運用」等をデータ収集・プログラム実践のフィールドとするために、学校教員および教育委員会からの聞き取り調査・大田区小学校等との調整、実践により、プログラムの設計・試行を行った。「科学技術コミュニケーションと教育」は5月19日から7月14日まで行い、その間、大田区教育委員会の研修との協働ワークショップを6月23日、7月7日、8月8日、9日、19日に行った。作成した教材・授業案は6件である。また、「サイエンスカフェ―組織と運営」は10月6日から2月2日まで行い、本番のサイエンスカフェを2月25日に実施した。これらの取り組みによってプログラム実施に当たっての実際上の知見を得ることができた。一方で、教材案等の情報が複雑であり、そこからどうデータを抽出するかと言う課題も得た。そこで、申請者が運営に関わっている大学院授業「新エネルギービジネスと社会受容」(講義主体のオムニバス授業)において、7回の授業全体をどう理解したのかを、受講生全員のレポートに記入させたキーワードから概念ネットワークを作成して捉え、学生へのフィードバックと次年度授業設計へのフィードバックとする取り組みを行った。これによって、ネットワーク分析に関する知見を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定どおりの大学院講義を、大田区教育委員会や学内外協力者とともに実施し、今後研究を進めるうえでの信頼関係とフィールドを確立することができた。また、ネットワーク分析に関しても、手法的な検討を行うことができており、研究はおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度の検討を基に、学生の知識変容評価や学習評価の方法を検討するための、テキスト分析およびルーブリックによる評価を上記プログラムにおいて試行し、データ収集・分析を実施する。具体的には、学生が作成した教材及びポートフォリオ上のテキスト、メーリングリストなどを用いて概念ネットワーク分析や配列分析を行う。またコミュニケーション学習成果を評価するルーブリック(質問紙)を作成し、回答データを得る。これらは教育プログラム実施の中で行うため、実施者・受講者にとって負担のない形での実施を重視する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度は50万円を計上したが、24年度以降は30万円となり予算が少ない。また、23年度に見込んでいたイベント実施費が当初より少ない支出ですんだため、その分を24年度に繰り越すこととした。平成24年度は23年度と同様にイベント等運用費に加え、論文作成や学会出席等に関する用途にも支出する予定である。
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