研究課題/領域番号 |
23701005
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
川本 思心 東京工業大学, 環境エネルギー協創教育院, 特任助教 (90593046)
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キーワード | 科学技術コミュニケーション / 教育プログラム |
研究概要 |
本研究の目的は、近年社会からの要請が強い、理工系学生のコミュニケーション能力の向上と、学校教員の理科授業力の向上を目指す科学技術コミュニケーション教育のプログラムについて検討する事である。 本研究のデータ収集と教育実践の場のためのフィールドとしては、平成23年度に引き続き、東工大大学院科目「科学技術コミュニケーションと教育」と、この科目と連携して開催される大田区教育委員会の教員研修、および同大学院科目「新エネルギービジネスと社会受容」「サイエンスカフェ―組織と運用」等を設定した。平成23年度実施の知見について、関係者と議論したうえで平成24年度のプログラムを実施した。 「科学技術コミュニケーションと教育」は5月24日から7月19日まで行い、その間、大田区教育委員会の研修との協働ワークショップを6月21日、7月5日、8月6日、7日、17日に行った。作成した教材・授業案は8件である。また、「新エネルギービジネスと社会受容」は5月11日から23日まで連続で8回実施し、「サイエンスカフェ―組織と運営」は10月4日から1月31日まで行い、本番のサイエンスカフェを2月16日に実施した。 これらの取り組みによって初年度の試行と、それをフィードバックして改善したプログラムの2例のデータが揃うことになった。また、これまでの成果について取りまとめも行った。学術論文誌に2件(別項参照)が掲載され、さらに教育系非学術専門雑『シナプス』第20号p26-30(2013)に「理工系大学院生と小中学校教員の協働研修による“科学技術リテラシー”向上の取り組み」が掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定どおりの大学院講義を、大田区教育委員会や学内外協力者とともに実施した。平成24年度は昨年度の取り組みをフィードバックしてプログラムを若干修正し、2年分のデータを得ることができた。これにより、試行と改善のデータが揃い、本格的に分析のフェーズに入ることが可能となった。このため、概ね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度から申請者はこれまで研究をおこなってきた東京工業大学から、北海道大学へ異動することとなった。本研究は東京工業大学の大学院授業および大田区教育委員会との連携を軸として実施してきた。本研究を実施する上で、フィールドの存在は非常に重要である。そのため、平成25年度は、まずこれまでの知見やデータを整理し、分析・成果発表を中心に実施する。その上で、北海道大学における実施、本手法の応用可能性について検討する。新しい任地である北海道大学高等教育推進機構科学技術コミュニケーション教育研究部門は、大学院生および社会人に対する科学技術コミュニケーション教育と、学外との連携を含めた実践、および研究を行う部署であり、本研究ですでに得られている知見を検討・構築し、継続実施する上では非常に適しており、実施可能性は非常に高いと言える。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度から申請者は東京工業大学から北海道大学へ異動するため、異動に伴っての新たな予算組みにある程度の余裕をもって柔軟に対応できるようにする必要があり、次年度予算を繰り越すこととした。平成25年度は24年度と同様にイベント等運用費に加え、論文作成や学会出席等に関する用途にも支出する予定である。
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