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2012 年度 実施状況報告書

理工系研究室の教育機能についてのエスノメソドロジーによる研究

研究課題

研究課題/領域番号 23701006
研究機関名古屋大学

研究代表者

齋藤 芳子  名古屋大学, 高等教育研究センター, 助教 (90344077)

キーワード研究室教育
研究概要

日本の理工系大学院教育においては「研究室における教育」に重点がおかれてきた。しかし、何がどのように教授学習されているのかは未解明の領域である。本研究課題では、暗黙知の移転による教授学習に焦点をあて、理工系研究室を基盤とする諸活動の観察・記録 (エスノメソドロジー)と質問紙調査、聞き取り調査を組み合わせ、いかなる暗黙知がどのように移転されているのかを解明する。
平成23年度は、研究室教育についての先行文献を収集整理した。橋本・瀧田らによる大学院の各専攻を対象とする大規模質問紙調査では、工学系修士課程の「研究室における教育」が、自立した研究能力、創造力、表現能力・交渉能 力を修得するのに有効で、理論と実践を架橋できるものと認識されていることが示され、また濱中は、技術者がプロフェッショナル意識を大学(院)教育において獲得していることが指摘されている。しかし、そのような教授学習が成立する場面については具体的な調査研究がいまだ乏しい。また、研究室教育と両輪をなすべく進められている大学院共通教育についての諸外国並びに国内事例の研究調査を重点的に行った。キ ーワードとなっているのは、参加型学習形態や、異分野融合/異質化集団を取り入れていることである。なかには大学院共通教育が大学院共通教育の制度そのものにイノベーションを起こしているような事例(制度学習)もみられた。
平成24年度は、研究室活動や研究指導に関して指導教員側と大学院生側に対して行った聞き取り調査について、海外の共同研究者(ヴィクトリア大学ウェリントン校のキャサリン・マナトゥンガ准教授)とともに分析と考察を行い、論文草稿を作成した。さらに、研究室における個人面談の参与観察データ、音声記録データについて、分析の方法を検討した。また、前年度に引き続き、研究室教育ならびに大学院教育に関する先行研究および事例の収集を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本年度は、病気休暇、産業医による勤務管理、産休等の事情により、研究の進捗はやや遅れ気味である。ただし、以下のとおり研究計画をもとに柔軟に調査研究を進めており、育休復帰後への道筋をつけられたものと考えている。
これまでに、本課題のテーマである研究室教育および大学院教育一般についての先行研究調査を行い、研究室教育に期待されるもの、足りないとみなされているものを把握することができた。 また、研究室における指導面談の観察ならびに指導教員や大学院生への聞き取りを実施し、分析を開始した。映像記録には抵抗を感じる学生もいることから、録画は限定的に使用して参与観察をメインに据えることで研究対象となる研究室との調整を諮った。

今後の研究の推進方策

参与観察を中心にすえ、本格的にエスノメソドロジーに取り組む。 研究室における特徴的な言語(専門用語、擬音語・擬態語、教員の口癖・モットー、学生間の隠語、など)や振舞(対装置、対文献、 対人間、対発表、対学会、対予算、など)を抽出し、研究室内に流布している研究ポリシーなどを参考に、言語や振舞の背景にある価値観や規範、思考方法などの探索を行う。 さらに以下のような点を観察を通じて明らかにしていく。(1)誰の影響か?〔教員、指導学生、先輩、同輩、他研究室の者、など〕 (2)どのような場面か?〔進捗報告会、輪講、実験、データ解析、食事、行事、など〕 (3)契機はなにか?〔なんとなく真似る、注意・忠告・マニュアル、意義を理解して、など〕 (4)時期はいつか?〔研究室加入からの時間経過〕 (5)修得に至るまでの経緯はどのようなものか?

次年度の研究費の使用計画

産休・育休のため研究中断

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公開日: 2014-07-24  

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