研究概要 |
遺跡から出土する種子遺存体について,由来や変遷は,当時の食生活や人の嗜好のみならず社会背景を検討するための貴重な情報源である.特に,メロン仲間の種子遺存体は比較的残存状況が良いため,研究に利用しやすいと考えられる.情報を得るために,形状分析やDNA分析は有効な手段である.そこで,申請者はメロン仲間の種子遺存体に適用できるDNAマーカーを開発すべく,(1)葉緑体ゲノムと核ゲノムを解読し,(2)配列変異を現生メロンにおいて解析してDNAマーカーを設計し,(3)鹿田遺跡より出土したメロン仲間の種子についてDNAマーカーを試行した.研究により計17のDNAマーカーを開発し(葉緑体:9,核ゲノム:8),現生の栽培メロンにおける多元起源を提案した.また,研究の結果は,鹿田遺跡において2つの細胞質型のメロンが利用されており,11世紀以降における選抜の過程で,現生の日本に固有のメロンであるマクワウリやシロウリ(Group Conomon)が成立したことを示唆していた.
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