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2011 年度 実施状況報告書

劣化した映画フィルムを安全に複製するプリンター機構の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23701017
研究機関独立行政法人国立美術館東京国立近代美術館

研究代表者

板倉 史明  独立行政法人国立美術館東京国立近代美術館, その他部局等, 主任研究員 (20415623)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワード映画 / フィルム / 保存 / 復元 / 劣化 / プリンター / 映像
研究概要

今年度は、研究計画に基づき、実際に検証作業を実施する現像所において2011年6月に打合せを行い、具体的な開発の手順や機構の詳細について議論を深めることができた。そのなかで、プリンターの各機構を開発するための各部品を購入する予定であったが、日々最新の機能を備えた部品が発売されていることなどもあり、部品選定に関する現像所との意見交換をより精緻に行ったため、次年度に延期することとなった。特に劣化フィルムの画像を撮影するデジタルカメラの解像度等の性能について検討を行ったり、フィルムのベース面についてキズを軽減させるウェットゲート機能を付加するかどうかを検討したりした。また、現状は35mmフィルムのみの対応を検討しているか、16mmフィルムやそのほかのフィルム・フォーマットにも対応できるようにできないかどうかについても検討を行った。フィルムセンサーの機構についても、より具体的に議論することができた。劣化して変形したフィルムの映像の部分を以下にセンサーで検知して正確な位置の撮影を行うためには、フィルムの両端に穿孔されたパーフォレーションをセンサーで感知し、4つ目パーフォレーションを検知するとモーターを停止させるようにすることを議論した。また、よりミクロのレベルの位置補正に関しては、映像が記録されているフレームの4つのコーナー(角)をセンサーで検知させ、カメラ位置を細かく補正するものを検討している。そのほか、破損フィルムやフィルムベースが弱っているフィルムを安全にカメラ位置まで送るためのシーケンサー・プログラムの見取り図についても、現像所の担当者と議論することができた。フィルム駆動ゲートの設計と開発につちえも業者と打合せを行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

現像所の複数の技術者たちと、研究計画をより充実したものにするために深い議論を実施できたことは評価できる点である。ただその結果、カメラの性能やセンサーの位置補正の具体的な工夫についても微調整が必要になったため、当初計画していた設計図や今年度の実施スケジュールも再調整することになり、結果として部品の購入が次年度に延期してしまうことになってしまった。

今後の研究の推進方策

次年度は、今年度議論した改良点を踏まえた上で、より精緻に設計した図面や作業フローに基づき、現像所と協力しながら研究目的の実現に向けて迅速に各作業を進めてゆきたい。

次年度の研究費の使用計画

次年度は、今年度議論したうえで選定を行った部品類を購入したうえで、研究計画に基づいた2つの機構を組み立てたうえで、実際の劣化フィルムをサンプルとして装填しながら実証テストを行い、2つの機構の制度を高めてゆきたい。その結果として、劣化フィルムを安全に撮影してフィルムの恒久的な保存に寄与するプリンター機構の実現を目指したい。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] 占領期におけるGHQのフィルム検閲―所蔵フィルムから読み解く認証番号の意味2012

    • 著者名/発表者名
      板倉史明
    • 雑誌名

      東京国立近代美術館研究紀要

      巻: 16号 ページ: 54-60

    • URL

      http://www.momat.go.jp/research/kiyo/16/pp.54_60.pdf

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 『忠次旅日記』のデジタル復元2011

    • 著者名/発表者名
      板倉史明
    • 雑誌名

      NFCニューズレター

      巻: 98

  • [雑誌論文] 黎明期から無声映画期における色彩の役割─彩色・染色・調色2011

    • 著者名/発表者名
      板倉史明
    • 雑誌名

      『日本映画の誕生(日本映画史叢書15)』(森話社)

      巻: 15 ページ: 100

  • [学会発表] フィルム保存と活用の実践例――東京国立近代美術館フィルムセンターの場合

    • 著者名/発表者名
      板倉史明
    • 学会等名
      人間文化研究機構連携研究「人間文化資源」の総合的研究」のうち,「歴史研究資料としての映画の保存と活用に関する基盤研究」主催のシンポジウム(招待講演)
    • 発表場所
      国立歴史民俗博物館
    • 年月日
      平成24年2月27日
  • [学会発表] シンポジウム「The Sword and the Screen」

    • 著者名/発表者名
      板倉史明
    • 学会等名
      イエール大学東アジア学部主催のシンポジウム(招待講演)
    • 発表場所
      イエール大学ホーイットニー・ヒューマニティーズセンター
    • 年月日
      平成24年2月11日
  • [学会発表] 東京国立近代美術館フィルムセンターの取り組み

    • 著者名/発表者名
      板倉史明
    • 学会等名
      第6回 映画の復元と保存に関するワークショップ2011(招待講演)
    • 発表場所
      京都府京都文化博物館
    • 年月日
      平成23年8月27日
  • [学会発表] 映画『忠次旅日記』のデジタル復元――長期保存に向けた素材情報の数値化の試み

    • 著者名/発表者名
      板倉史明・土屋清晃・三浦和己
    • 学会等名
      2011 年度日本写真学会秋季研究発表会
    • 発表場所
      京都教育文化センター
    • 年月日
      平成23年12月5日
  • [学会発表] フィルムセンターにおけるフィルム保存環境と権利処理

    • 著者名/発表者名
      板倉史明
    • 学会等名
      人間文化研究機構「人間文化資源の保存環境研究」研究会(招待講演)
    • 発表場所
      国立民族学博物館
    • 年月日
      平成23年11月25日

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公開日: 2013-07-10   更新日: 2013-07-10  

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