• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実施状況報告書

遺跡出土馬の系統分類のための基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号 23701018
研究機関山梨県立博物館

研究代表者

植月 学  山梨県立博物館, その他部局等, その他 (00308149)

キーワード馬産 / 在来馬 / 動物考古学 / 楕円フーリエ解析
研究概要

本研究では、わが国において各時代にどのような系統の馬が飼育され、それが生産管理や流通とどのように関わっていたのかについて、遺跡出土馬歯の輪郭形状解析により解明することを目的としている。昨年度の調査により本方法の有効性が確認できたため、今年度はより広範な地域、年代の出土標本データの収集を重点的におこなった。
遺跡出土馬歯の調査は青森県、群馬県、長野県、神奈川県の古代~中世遺跡出土標本についておこなった。国外では韓国の古代遺跡より出土した馬歯の調査をおこなった。また、研究協力者より近畿地方の古代遺跡や韓国の古代遺跡の標本データの提供を得た。以上をこれまでに収集した東日本の標本と比較した。
その結果、古代においては東北地方と中部地方の馬歯形状の差が小さいのに対し、中世になると東北、関東、中部地方それぞれの地域性がより明確になることがあきらかになった。以上は古代以降に発展する東北地方北部の馬産が北方経由でもたらされたとの説には合致せず、むしろ中部地方を含む古代日本由来との説により調和的である。
韓国古代遺跡との比較では、韓国内の対象遺跡・標本が比較的少数であるにもかかわらず、日本国内に比べて形状の多様性が大きいことが確認された。その中には日本国内では見られない形状と、日本の古墳時代や古代遺跡出土標本に近い形状の標本の両者が見られた。以上は日本にもたらされた古代以前の馬がごく限られた系統のものであった可能性や、韓国内の特定の地域に由来する可能性を示唆するが、少数の標本による結果であり、より詳細な検討を要する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初計画していた遺跡出土馬歯データの蓄積はある程度達成でき、これまでに約40遺跡、1300点の馬歯画像を収集することができた。また、韓国との比較も進めることができた。しかし、国内でも西日本のデータが少なく、大陸との比較や国内への馬産の普及過程の解明を進めるにはいまだ十分とは言えない。

今後の研究の推進方策

これまでの研究により、日本列島にもたらされた古代馬がどの程度限られた系統であったか、あるいはどのような地域に由来するかを明らかにできる見通しが立った。今後はモンゴルや中国など日本古代馬の故地と推測される大陸のより広い範囲で馬歯の形状変異を確認することによって、日本古代馬との関係を検討していく。また、大陸と東日本の間に位置し、経由地と推定される西日本のデータも収集していく必要がある。

次年度の研究費の使用計画

次年度は国外や西日本の標本を調査するため、旅費の割合が多くなる。ただし、予算が限られているため、可能な場合には研究協力者などを通じて画像や計測値を入手し、より効率的にデータを収集していく予定である。最終年度であるため、報告書の刊行とインターネット上での成果の公開にも研究費を充てる。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 臼歯形状による遺跡出土馬の系統分類の試み2013

    • 著者名/発表者名
      植月 学・津村宏臣・覚張隆史・松元光春・西中川駿
    • 雑誌名

      動物考古学

      巻: 30 ページ: 未定

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 甲斐周辺における馬埋葬と頭骨埋納~甲府市朝気遺跡出土のウマ遺体~2013

    • 著者名/発表者名
      植月 学
    • 雑誌名

      山梨県考古学協会誌

      巻: 22 ページ: 未定

  • [学会発表] 臼歯形状解析による遺跡出土馬の系統分類2012

    • 著者名/発表者名
      植月 学・津村宏臣
    • 学会等名
      第66回日本人類学会大会
    • 発表場所
      慶應義塾大学
    • 年月日
      20121102-20121102
  • [学会発表] 輪郭形状解析による出土馬歯の形状分類に関する基礎的研究(2)2012

    • 著者名/発表者名
      植月 学・津村宏臣
    • 学会等名
      日本文化財科学会第29回大会
    • 発表場所
      京都大学
    • 年月日
      20120623-20120624
  • [学会発表] 日韓古代馬の臼歯形状比較2012

    • 著者名/発表者名
      植月学、孫晙鎬、庄田慎矢、津村宏臣
    • 学会等名
      第16回動物考古学研究集会
    • 発表場所
      国立歴史民俗博物館
    • 年月日
      2012-11-10
  • [備考] 外部資金による研究(遺跡出土馬遺体の系統分類のための基礎的研究)

    • URL

      http://www.museum.pref.yamanashi.jp/2nd_news_kaken_uetsuki_01.htm

URL: 

公開日: 2014-07-24  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi