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2013 年度 実績報告書

遺跡出土馬の系統分類のための基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号 23701018
研究機関山梨県立博物館

研究代表者

植月 学  山梨県立博物館, 学芸課, 学芸員 (00308149)

キーワード馬 / 動物考古学 / 楕円フーリエ法 / ランドマーク法 / 韓国 / モンゴル
研究概要

本研究では、わが国において各時代にどのような系統の馬が飼育されていたのかについて、遺跡出土馬歯の形状解析により検討した。調査は在来馬の現生標本による本手法の有効性の確認より始め、東日本の古代~中世遺跡を中心に一部西日本の古代標本や韓国、モンゴル遺跡出土標本についておこなった。最終年度には新たにランドマーク法を用いた比較もおこなった。
輪郭形状解析の結果、東北地方と中部地方の差が古代には小さいのに対し、中世になると地域性が顕在化していくことが明らかになった。以上は古代以降に発展する東北地方北部の馬産が北方経由でもたらされたとの説には合致せず、むしろ中部地方を含む古代日本由来との説により調和的である。
ランドマーク法でも日本列島の古墳時代から中世の馬歯はいずれの地域においても古代は多様性が低いのに対し、中世になると変異が大きくなることが確認できた。韓国の古代遺跡との比較では南岸の伽耶地域出土の標本が日本の古代にもっとも近く、馬具型式から推測される馬産文化の系譜と整合的である。百済に相当する東南部の遺跡出土のものは形状が異なり、日本の中世に近かった。これは日本列島に導入された初期の馬の系統を考える上で示唆的である。
モンゴルの遺跡では匈奴時代の馬歯形状が日本の古代に近いのに対し、中世では日本同様に変異が大きくなる傾向が確認できた。以上により、古代の日本列島にはモンゴルを起源とし、朝鮮半島を経由した限られた系統のウマが導入されたものの、中世までにはより多様な馬が導入されたとの推測も成り立つ。また、起源地であるモンゴル周辺でも中世までに他地域との交流により、より多様な馬が導入されたと考えられる。
本手法によりこれまで不明だった過去の馬の系統関係を解明できる可能性が高まった。今後はさらに標本の対象地域、時代を増やすと共に古DNA分析の結果とも比較検討していく必要がある。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 出土馬遺体研究の現状-東日本を中心に2014

    • 著者名/発表者名
      植月 学
    • 雑誌名

      BIOSTORY

      巻: 21 ページ: 26-31

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 遺跡出土馬に見られる銜痕について2014

    • 著者名/発表者名
      植月 学
    • 雑誌名

      山梨県立博物館研究紀要

      巻: 8 ページ: 15-22

  • [雑誌論文] 甲斐周辺における馬埋葬と頭骨埋納2013

    • 著者名/発表者名
      植月 学
    • 雑誌名

      山梨県考古学協会誌

      巻: 22 ページ: 170-182

  • [学会発表] モンゴル国内遺跡出土馬の体高2013

    • 著者名/発表者名
      植月学,Tuvshinjargal Tumurbaatar,Bayarsaikhan Jamsranjav, Erdene Myagmar
    • 学会等名
      日本動物考古学会第1回大会
    • 発表場所
      慶應義塾大学
    • 年月日
      20131116-20131116
  • [学会発表] 臼歯形状からみた日韓古代馬の関係2013

    • 著者名/発表者名
      植月 学、孫晙鎬、津村宏臣、丸山真史、Gundem Can Yumni、庄田慎矢、菊地大樹、本郷一美
    • 学会等名
      日本文化財科学会第30回大会
    • 発表場所
      弘前大学
    • 年月日
      20130706-20130707

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公開日: 2015-05-28  

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