研究課題/領域番号 |
23701025
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研究機関 | 大阪市立自然史博物館 |
研究代表者 |
石田 惣 大阪市立自然史博物館, その他部局等, 研究員 (50435880)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | 市民参加型調査 / 博物館連携 / 干潟 / 標本記録 / 生物相 / 古地図 / 底生生物 |
研究概要 |
(1)博物館標本による日本の干潟の過去の生物相の再構築 鳥取県立博物館、陸前高田市立博物館仮収蔵施設、唐桑町漁村センター等で主に貝類の標本調査を行った。また、個人蔵の紀州藩伝来貝類標本等を調査した。その結果、陸前高田市立博物館が所蔵する鳥羽源藏コレクションから、干潟の貝類で現在はその地域に分布しないものの、明治時代には生息していた標本記録を複数確認した。また、大阪市立自然史博物館所蔵の標本についても、主に干潟性生物について種名・採集地・採集日のデータを整理した。(2)文献に基づく過去の生物相データの整理 瀬戸内海の生物相に関する稲葉(1988)から干潟性生物の抽出作業を行った。また、1950年~60年代の文献から主として大阪湾の浅海生物の記録を収集した。(3)日本の沿岸における過去の干潟環境の把握 男里川河口干潟(大阪府)、和歌川河口干潟(和歌山県)、新舞子干潟(兵庫県)、燧灘沿岸干潟(愛媛県)をモデルケースとして、明治~昭和期に測量された地形図及び空中写真から過去の干潟面積を把握し、現在の地形図・空中写真による干潟面積と比較した。また、現地に赴き、地図・写真データと実際の面積との整合性、ならびに底質等の環境について調査した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当年度はオランダ国立自然史博物館(Naturalis)を訪問してシーボルトコレクションを調査する予定だったが、2011年中は同館が外部からの標本閲覧を受け入れていないことが判明したため、当年度中の訪問調査ができなかった。また、国立科学博物館所蔵の標本調査を行う予定だったが、同館の収蔵施設の移転に伴う標本の引越し作業が想定していたよりも時間がかかり、当年度中に訪問調査ができなかった。これらの事情により、各博物館の標本調査が予定していたよりも若干遅れている。なお、それ以外の調査研究項目についてはおおむね予定通りに進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
24年度は遅れている博物館標本の調査を重点的に行う。オランダ国立自然史博物館の標本調査については、すでに網羅的な調査を行った山口隆男氏(元熊本大学)に資料提供を依頼し、事前調査を行う。また、フィラデルフィア自然科学アカデミーのコレクションマネージャーであるポール・カロモン氏に協力を求め、アメリカ国内に収蔵されている日本の古い時代の標本(スターンズコレクション、ルーミスコレクション等)について情報収集を行う。これらの事前調査を踏まえて、海外の博物館標本の調査を進める。また、国内の博物館についても標本の収蔵状況を事前調査し、標本調査を行う。調査対象館は福井市自然史博物館、函館市立博物館、国立科学博物館、富山市科学博物館、陸前高田市立博物館等を予定している。それ以外の調査項目については、当初の予定通りに進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費については、明治~昭和初期の古地図や空中写真など、文献の購入費に充てる予定である。旅費については、国内5館程度を標本調査目的で訪問するほか、オランダないしはアメリカへの博物館標本調査等に充てる予定である。人件費・謝金については、文献情報及び標本情報のデータベース化作業を行うアルバイト人件費等に充てる予定である。その他経費については、文献複写費等に充てる予定である。
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