(1)1950年代以前に国内で採集された干潟棲貝類標本の探索及びデータベース化:東京大学総合研究博物館、国立科学博物館、瀬戸内海沿岸の県立高校等が所蔵する動物標本から、主に1950年代以前に日本国内で採集された干潟棲無脊椎動物の標本記録の調査を行った。平成25年度までの調査結果と併せて、主に東京湾、三河湾、大阪湾、瀬戸内海などを中心とする海域で絶滅もしくは著しく減少した種について採集地・採集時期をデータベース化し、高度経済成長期以前の都市域の内湾干潟の貝類相の再構築を試みた。 (2)瀬戸内海沿岸各地の干潟における比較生物相調査:瀬戸内海で良好な干潟環境が残っている香川県小豆島、大分県別府湾・国東、岡山県笠岡湾・水島灘・備讃瀬戸沿岸の干潟等で地形環境及び生物相の調査を行い、現在の大阪湾を初めとする都市圏の沿岸自然環境との違い、及びその差を生み出す要因について検討を行った。 (3)国内の干潟における過去~現在の生物相構築と保全への活用:主に大阪湾(大阪府域)について、明治期から現在までの生物相調査報告、生物出現記録、その他文献・標本記録の渉猟を行い、大阪湾域でのファウナ ・フロラリストを平成25年度に確定させたが、今年度に最終的なリストの確認作業を済ませ、印刷物として刊行した。 (4)『干潟の要注目種』の選定と、市民参加型干潟環境調査のためのモデルプロトコルの策定:市民参加型調査における調査対象種としての適性や効率性、及び上記(2)(3)の検討から、特に大阪湾での干潟の要注目種としてウミニナ類を選定した。これに基づき、大阪湾環境再生連絡会主宰の「第7回大阪湾生き物一斉調査」においてウミニナ類を中心とする「巻き貝」を調査テーマとして提案し、調査の実施とその結果発表を行った。
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