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2012 年度 実施状況報告書

都市域における自然系エコミュージアム形成・持続的運営のための手法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23701026
研究機関兵庫県立人と自然の博物館

研究代表者

橋本 佳延  兵庫県立人と自然の博物館, その他部局等, 主任研究員 (60372140)

キーワードエコミュージアム / 参画と協働 / 草原生植物 / 植生管理 / ススキ草原 / ネザサ / 生物多様性地域連携促進法
研究概要

ネザサの刈り取り管理が草原生植物の種多様性の回復に及ぼす効果を検証した成果を学術論文として公表し自然系エコミュージアムとしての東お多福山の場の魅力向上を図るために実施されている管理方法が有効であることを明らかにした。この論文によってネザサの定期的刈り取り、特に年2回の刈り取りによって草原生植物の種数、被度が回復することが明らかとなった。
目標の共有化・官民支援の仕組みづくりについては、平成23年に発足した研究会の定例会を活用し、行政担当者と協議を重ねた。また平成23年度末に神戸市・芦屋市に生物多様性地域連携促進法に基づく提案を行った事を受け、平成24年度には神戸市、芦屋市、兵庫県、環境省、研究会の5者による、地域連携保全計画の策定の妥当性や策定するにあたって解決すべき課題についての協議を行った。
参画者の確保については、平成23年度に作成した保全活動紹介パンフレットの配布や研究会メンバーからの呼びかけにより、外部5団体が見学・刈り取り体験に訪れたほか、新規に1団体が研究会に加入した。
場に関する知識のパッケージ化については、東お多福山草原における生物多様性保全の目標像、保全活動の成果と今後の計画について紹介する小学生向けのパンフレットを作成した。また、草原の魅力を紹介するセミナーを実施するとともに、兵庫県神戸県民局と協働で平成25年度に実施予定の案内人養成講座の開催計画を策定した。
かつての東お多福山のススキ草原の姿を明らかにするための古写真収集研究については、研究会の活動を通じて古写真の入手に努めたほか、広く古写真を募集するための方法の検討および広報媒体(チラシ・ポスター)の原稿作成を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成23年度より調査地である東お多福山草原での草原管理面積を広げたこと、また継続管理を実施していることにより、ススキの優占する草原景観が回復しつつあり、草原生植物の種類、個体数も増加傾向にある。このことは調査地の自然系エコミュージアムとしての魅力の向上に寄与していると考えられ、活動参加人数や新規の参画団体の増加に繋がっている。研究計画時の仮説を裏付ける結果が得られつつある。
人材養成プログラムの充実化については、行政機関との連携により平成25年度に草原ガイド養成講座を開催することが確定しており、実証実験が可能な環境が整いつつある。今後はどのような属性の人がガイドとして養成され、活動を展開するかを検証する予定である。
場に関する知識のパッケージ化については小学生向けの環境学習教材を作成したことにより、その効果を検証するための環境が整いつつある。パンフレットについては近隣の小学校、中学校に配布したほか、兵庫県の高校教員理科部会への配布も予定している。今後は、そのことによって自然系エコミュージアムとしての東お多福山の認知度が向上し、利用促進や保全活動への参画者の増加、内容の充実化などにつながる検証を行っていく予定である。また前述のガイド養成講座を通して場に関する知識のパッケージ化をすすめ、知識のパッケージ化が自然系エコミュージアムの形成にどのように寄与するかを検証して行く予定である。
古写真収集による過去の植生の復元については、古写真の大量収集には至っていないことから、平成25年度に多数の写真を収集できるよう調査方法を工夫する予定である。

今後の研究の推進方策

神戸市・芦屋市と連携して、東お多福山草原における生物多様性地域連携促進法に基づく地域連携保全計画を策定するための協議を行う。策定においては本研究の成果を活用するとともに、自然系エコミュージアム形成に必要な要素について社会的側面からも考察を行う。
古写真収集による過去の植生の復元を更にすすめるため、チラシ・ポスターなどの大量配布を行い、研究活動を広く周知し、協力者を募る。
ガイドブックの作成・案内人の養成については、兵庫県神戸県民局との連携により養成講座の実施を予定している。引き続き、行政との連携を密に行い効果を検証するための調査を実施していく。
草原管理は、場の魅力の向上に不可欠であり引き続き継続するとともに、従来の方法に加えてより効果的な草原保全手法を模索する。

次年度の研究費の使用計画

草原管理の継続による種多様性の回復状況を検証するためのモニタリング調査、古写真収集を効果的に行うための広報と収集した古写真のデータベース化、これまでの取り組みが自然系エコミュージアム形成にどの程度寄与しているかを検証するためのアンケート調査に用いる。
調査・研究成果を元にした東お多福山に関する知識のパッケージ化をすすめるための学習素材やガイドブックの作成、利用者獲得の為の普及・啓発活動の実施に用いる。
東お多福山草原における生物多様性地域連携促進法に基づく地域連携保全計画を策定するための協議プロセスを記録、その効果の検証を進める。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] ササ優占型に遷移した草原における刈り取りによる草原生植物種多様性の回復効果2012

    • 著者名/発表者名
      橋本佳延、石丸京子、黒田有寿茂、増永滋生、横田潤一郎
    • 雑誌名

      ランドスケープ研究(オンライン論文集)

      巻: 5 ページ: 69-76

    • DOI

      10.5632/jilaonline.5.95

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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