研究課題
本研究は、岩盤河川の侵食と気候変動との関係について、とくに岩盤河川の縦断面地形に着目して地形定量分析・空間解析のアプローチから解明することを目的とするものである。初年度から、岩盤河川の地形分析に向けて、まず基礎的なデータ収集を行った。具体的には、全球地形モデル(SRTMおよびASTER GDEM)等の空間データを入手し、GISを用いた空間解析の準備としてデータ処理を行った。このデータ処理と並行して、岩盤河川縦断面形状の分析手法を、従来の方法(Hayakawa and Oguchi, 2006, 2009など)の改良を通して、効率的でより正確な遷急区間の抽出手法の開発を試みた。これにより、遷急区間の分布に対する河川の水理的な作用の影響が明らかとなり、過去の気候変動がそうした遷急区間の形成の一因となっていることが示唆された。一方、国内の調査地として典型的な岩盤河川侵食が生じている複数の地点を選定し、高精度測位機器(GNSS)やレーザ距離計(LRF) 、地上写真測量、および地上型3Dレーザスキャナ(TLS)を用いた高精細な地形データを取得し、遷急区間の形状解析と岩盤強度との対応を調査した。これらの現地調査による詳細な地表面形状データは、広域的な分析の参照点として、遷急区間の侵食モデルの要素に入力され、気候変動にともなう流量変化が遷急区間の侵食速度に与える影響をオーダーレベルで評価した。さらに、スケールアップした岩盤河川侵食の挙動解明に向けて、高精細地表面形状データの空間データ共有システムにおけるアーカイブ化を進めた。また、本研究の手法開発およびデータ取得・解析結果について、国内学会および国際会議における研究発表を積極的に行い、有益な議論を通して今後の方針についての示唆を得ることができた。
すべて 2013 2012
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) 図書 (3件)
In: Y. Kontar, V. Santiago-Fandiño, T. Takahashi (eds.), Tsunami Events and Lessons Learned; Environmental and Societal Significance. Springer
巻: in press ページ: in press
地形
巻: 34 ページ: 21-26
Physical Geography
巻: 33 ページ: 536-560
10.2747/0272-3646.33.6.536