研究課題/領域番号 |
23701030
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
倉田 陽平 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 准教授 (50585528)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 地理情報システム / 観光情報 / ナビゲーション / カーネル密度推定法 / 観光ポテンシャル / 写真共有サイト / モバイル |
研究概要 |
本研究の目的は,観光地各所における観光ポテンシャル(みどころ度合い)を推定・可視化する手法を開発し,さらにそれをもとにした旅行者ナビゲーションツールを開発するというものであった.まず,観光ポテンシャルを推定するためのいくつかの手法を提案し,それらについて比較検討した結果,旅行者による写真撮影箇所の位置データを利用する手法の優位性が明らかになった.そこで,実際に写真撮影位置データを利用し,カーネル密度推定法を用いて旅行者の写真撮影密度を計算することで,実質的に見所度合いを可視化した「観光ポテンシャル地図」を作成する手法を提案した.さらには,そのような写真撮影位置データをインターネット上の写真共有サイトFlickrから大量に収集することで,半自動的に観光ポテンシャル地図を作成するツールの開発を行った.実際にこの手法によって横浜,東京,鎌倉,ソウル,コペンハーゲンなど各都市の観光ポテンシャル地図を作成し,学会等で公開し大きな反響を得た.また,作成した横浜の観光ポテンシャル地図を活用して,スマートフォンやタブレットPCで利用可能なモバイル向け観光情報ツールを実装した.このツールについてモニターユーザによる利用実験を行った結果,旅行者に対し「あえてテキストを表示せずポテンシャルの塗り分けのみを示し興味を引かせる」という情報提示法について,地図を好む層から一定の支持が得られることが確認できた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り,観光ポテンシャルを推定し,可視化するという手法と,それを応用したモバイル向け観光情報ツールの実装を達成した.ただ,研究計画では複数の観光ポテンシャル推定法の優劣を実験的に比較するとしていたが,実際には実験を行わず,議論によって旅行者による写真撮影箇所位置データを利用する手法の優位性を明らかにするに留まった.
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今後の研究の推進方策 |
初年度に開発したツールをベースに,利用者参加を取り入れて,観光ポテンシャル図が動的に更新される仕組みを導入し,利用者が観光地に起きている観光価値のある事象(イベントなど)を察知できるような情報提供を実現する.そしてそのような情報提供の可能性と課題点についてモニター実験を通し分析する.
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次年度の研究費の使用計画 |
新規開発したツールのモニター実験にかかる謝金,ならびにプログラム作成アルバイトに対する賃金支払いが主になる.また,モニター実験を行うにあたって,サーバーをレンタルする費用を要する.
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