研究課題/領域番号 |
23701031
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研究機関 | 駒澤大学 |
研究代表者 |
田中 靖 駒澤大学, 文学部, 准教授 (80348888)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | DEM / LEMs / GTL / シミュレーション / 海水準変動 / 拡散係数 / 地形計測 |
研究概要 |
本研究の第一の目的は,航空機レーザー測量DEM(LiDAR-DEM)を初期条件として用いる地形シミュレーションモデル(LEMs)の構築と,そのインターネット上での公開である。平成23年度はこのうち,たたき台となるLEMsの構築とその実用性の評価についての研究を行い,日本地形学連合2011年秋季大会での発表と,雑誌『地形』への投稿を済ませるところまで研究を進めることができた。 LiDAR-DEMを初期条件として用いるLEMsは,プロセスベースでの構築にはまだ理論的・技術的な問題が多く存在するため,現時点では中解像度(50m正方形グリッド)でモデル構築を行っている。このモデルでは,これまでの地形プロセス学の研究成果をベースとして,隆起・沈降,河川侵食,斜面における土砂移動,および波浪に伴う海食について,一年単位で計算することにより地形変化を表現するところまで到達することができている。入力パラメータには,地形変化の速度を決める係数を設定するだけではなく,海水面の変化データも独立したシナリオとして組み込むことができるようになっている。 構築したLEMsを日本に実在する沿岸域の地形に適用し,氷期-間氷期サイクルの2周期に相当する期間の地形変化を計算した結果,陸域での流路変化や,隆起に伴って離水する海成段丘やその地域に発生する流路網などを再現できることが確認できた。そこで,入力パラーメーターを変化させて地形変化の違いを細かに観察してみたところ,既往研究と整合的な結果が得られたところと,発達史地形学における考え方と矛盾するとみなすこともできるような結果の両方が指摘できることを確認することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の屋台骨となる地形シミュレーションモデルの構築と,その成果をまとめるところまでは順調に進展していると言える。しかし,初期条件に航空機レーザー測量データを用いて最適化することや,その際に発生する問題の検討などには手を付けることができなかった。その他にも,シミュレーションに用いる各種係数の地形学的検討や,試験候補地域の調査などもあまり進んでいない。これらの研究テーマは,当初から2年目以降での着手を考えていたが,研究速度を上げないと達成することが難しくなることが予想される。そこで,4年計画の2年目となる平成24年度中に,当初の研究計画を達成するために今後の研究の筋道を明確化させたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度はおおよそ研究計画通りに進めることができたので,平成24年度は特にLiDAR-DEMを初期条件として用いるLEMsの構築に力を入れて研究を進める予定である。また,できれば平成24年度中にこれまで作成したプログラムや計算結果などを公開するインターネット上のサイトの作りを進める予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
・物品費(解析に必要なソフトウェア等の購入および維持更新費,コンピュータ関係消耗品等):20万円・旅費(入力パラメータ設定のための地形計測調査,他期間に所属する研究者との研究打ち合わせ,学会出張旅費等):10万円・人件費・謝金(研究アルバイト料支払い,英文校閲支払い):35万円・その他:5万円
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