研究課題/領域番号 |
23701031
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研究機関 | 駒澤大学 |
研究代表者 |
田中 靖 駒澤大学, 文学部, 教授 (80348888)
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キーワード | LEMs / DEM / GTL / シミュレーション / 海水準変動 / 拡散係数 / 地形計測 |
研究概要 |
この研究の目的は,航空機レーザー測量DEM(LiDAR-DEM)を初期条件として用いることができる地形シミュレーションモデルの構築と,そのインターネット上への公開である。本科研費3年目となる平成25年度は,そのプロトタイプとなるシミュレーションモデルを現実地形に適用した結果の論文による公表を行なった。また,このシミュレーションモデルを高解像度LiDAR-DEMを用いて計算を行う際に問題となる流路アルゴリズムの問題について,その具体的な問題点を整理して学会発表を行い,他の研究者との議論を行った。さらに高解像度DEMによる地形シミュレーション結果をより妥当なものにするためには,崩壊による地形変化も考慮する必要があることが以前から指摘されているが,現在のプロトタイプモデルの中には崩壊の要素は含まれていない。この問題に挑戦するために,高解像度DEMによる崩壊の発生条件に関する地形計測の視点からの研究に着手し,これについても学会発表を行った。 これまでの3年間の研究により,開発中の地形シミュレーションモデルは,空間解像度25m程度のDEMを初期条件として用いた場合には,現在の地形学の知識に照らしてある程度信頼できるシミュレーションを行うことができるところまで到達することが出来たと考えている。しかし,この技術をLiDAR-DEMを初期条件として用いるに際しては,計算方法,計算速度,そして結果の評価方法と全ての点において課題が多い。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
シミュレーションモデルの構築については,25m程度の空間解像度を用いた場合については概ね研究は順調に推移していると考えられる。論文での公表や数回の学会発表を行ったことにより,数件の質問や問い合わせもあるが,いずれもこの分野の研究に強い興味を持つ人々からの問い合わせであり,今後の共同研究へと発展させることが出来そうである。 しかし,初期条件にLiDAR-DEMを用いたシミュレーションモデルの構築については,前年度と同様,データの高解像度化に伴う様々な問題を克服することができず,前に進むことができない状況に陥っている。また,モデルのインターネット上への公開についても,すでにソースプログラムだけは掲載し,数名の研究者間では情報の共有を行ってはいるが,計算機環境が異なっても実用速度で実行できるように調整することや,解説を付すなどの作業が進んでおらず,一般公開とは言えない状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
昨(平成25)年度,国による航空機レーザー測量成果の公開が大幅に推進され,国土地理院の「基盤地図情報サイト」から広範なエリアの航空機レーザー測量DEMの入手が可能となった。これにより,研究を推進する場所については既に入手している場所のデータに縛られない状況となった。 そこで本プロジェクト最終年度となる平成26年度は,データの高解像度化に伴う様々な問題の解決が比較的容易となる場所を再度検討した上で,LiDAR-DEMを初期条件に用いるシミュレーションモデルの構築の研究に集中したいと考えている。現在,その第一段階として高知県室戸岬周辺の海成段丘地形を対象として研究を進めている。
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次年度の研究費の使用計画 |
主に予定されていた旅費を使用しなかったことによって生じた。 物品費(解析に必要なソフトウエアライセンスの維持更新,PC関係消耗品等):30万円,旅費(現地調査旅費,研究会参加費):25万円,人件費・謝金:5万円,その他(論文投稿費,英文校閲,別刷印刷費等):10万円
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