本研究では,比較的早い段階から人口減少が観察されている地方都市を対象とし,高齢者を中心とした都市内人口移動傾向や人口分布の変化から地域再生の方向性を探った。都心回帰は,確かに東京圏などの大都市圏において先行的に観察された現象であったが,2000年代以降は地方都市の都市圏においても都心回帰が広く波及してきたことなどを明らかにした。今後,各地域においていっそうの少子高齢化・人口減少が不可避な状況のなかで,とくに地方都市では従来のように人口分布が再度分散に向かうことは想定しづらく,近年の人口の流れに沿った形での地域計画フレームを模索していくことが求められるであろう。
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