ポドプラニン(PDPN)は、種々の腫瘍に高発現している糖タンパク質で、癌幹細胞群のマーカーとしても使用され始めている。最近、申請者らはPDPNの腫瘍特異的糖鎖修飾の存在を確実に示唆するデータを得た。そこで、この腫瘍特異的糖鎖修飾を担う糖転移酵素遺伝子群を特定し、これらの遺伝子発現制御機をmicro RNA等のnoncoding RNAによる転写後制御という観点から解析し、腫瘍特異的糖鎖構造の生合成制御機構を解明することを目的として研究を遂行した。 平成23年度は、腫瘍特異的糖鎖構造の生合成を担う糖転移酵素遺伝子特定のため、当該構造を発現している細胞株と発現していない細胞株の選定に取り組んだ。次に、細胞株の候補糖転移酵素遺伝子の発現量をリアルタイムPCR法で定量解析を行い、抗原発現パターンと遺伝子発現パターンからどの遺伝子がどのように鍵となっているかを推定した。 最終年度(平成24年度)、推定した糖転移酵素遺伝子を標的とするmiRNA候補分子を選定した。候補となるmiRNA分子を脳腫瘍細胞株にて定量、抗原の有無との相関から転写後制御に関与している分子を特定を試みた。 今後の研究の展開として、特定された分子について、発現実験、阻害実験により検定を行う。
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