研究課題
癌の増殖と転移には血管新生が重要な役割を果たす。また、血管新生阻害療法は様々な癌種において用いられているが、その抵抗性獲得の問題は十分解決されていない。我々は、血管新生阻害の結果として一部の癌細胞は低酸素や低栄養状態に陥ることが考えられ、これに抵抗性な癌細胞が癌の悪性化に寄与するという仮説をもとに本研究を行い低酸素・低栄養が癌の悪性化に関わる事を報告してきた。上記の研究成果を踏まえ平成25年度は、低酸素、低栄養を模した培養癌細胞の解析からJMJD1Aの遺伝子発現が亢進していることを見出し、その役割を培養細胞とマウスを用いて解析し、マウス腫瘍移植実験系において腫瘍増殖や腫瘍血管新生を制御する事を見いだし新たに論文報告した。また、JMJD1Aの得意的な阻害が、in vivoのマウスの実験系において血管新生と腫瘍増殖を顕著に抑制した。さらに、JMJD1Aの阻害はVEGF中和抗体やVEGF受容体阻害剤などをの血管新生阻害剤との併用に相乗効果を示した。本研究により、JMJD1Aが、低酸素・低栄養下で腫瘍増殖や腫瘍血管新生を制御し、癌の進展や悪性化を抑制することが明らかとなった。これらの知見は、近年着目されているヒストン修飾、エピゲノム修飾因子が腫瘍増殖に関わることを示しており、エピゲノム創薬が癌の悪性化や血管新生阻害における治療抵抗性に対する新しい標的の一つとして、新しいメカニズムに基づく新規創薬に繋がる可能性を示すものである。
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