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2011 年度 実施状況報告書

ラミニン・ガンマ2鎖短腕のがんの悪性増殖における役割

研究課題

研究課題/領域番号 23701059
研究機関香川大学

研究代表者

小川 崇  香川大学, 医学部, 助教 (80405018)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワードがん / 浸潤 / ラミニン / ECM / 細胞内シグナル
研究概要

がんの浸潤・転移におけるラミニンgamma2鎖の重要性をさらに明確にする結果が得られた。間質に浸潤した上皮性のがん細胞はすでにラミニン5を発現していないが、その構成鎖の一つである2鎖のみを単独で強く発現している。しかし、この2鎖の発現とがんの浸潤性の直接的な関係は明らかではなかった。そこで私は、ヒト膀胱がん細胞EJ-1及びヒト胎児腎由来細胞HEK293にgamma2鎖全長及びgamma2鎖短腕を単独で強制発現させ、ヌードマウスに移植することによって、gamma2鎖短腕が生体内での浸潤性増殖を促進することを明らかにした。そこで、gamma2鎖単量体の活性部位の探索を行い、主にドメインVに活性部位が存在することを明らかにした。また、そのメカニズムとして、gamma2鎖短腕のドメインVが間質系の細胞外マトリックスであるFibronectinやCollagen Iによる細胞の接着や運動を促進することが明らかにした。 そこで、ドメインVを強制発現させた細胞を樹立し、精製を行い、gamma2鎖ドメインVを認識する抗体の作製を試みた。この抗体がgamma2鎖の活性部位の機能を阻害し、がんの浸潤・転移を抑制できるかどうかを検討する。 また、gamma2鎖が間質系の細胞外マトリックスへの活性を調節していたことから、EMT(Epithelial Mesenchymal Transition)への関与を調べた。その結果、gamma2鎖の発現に伴って間質系マーカーであるビメンチンの発現が上昇することが明らかになった。つまり、gamma2鎖はEMTに関与し、その結果としてがん浸潤を促進していることが示唆された。現在、このメカニズムについて解析中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

抗体作製や活性部位の探索は予定通り進行しており、今後の解析を予定通り行う予定である。

今後の研究の推進方策

今回、gamma2鎖のがん浸潤促進機構にEMTが関与することが明らかになった。そこで、今後はEMTに至るまでの細胞内シグナル等のメカニズムについて解析を進める。さらに、gamma2鎖ドメインVをN側、C側に分離しそれぞれの細胞における発現系を構築し、今後この細胞を用いて、gamma2鎖ドメインV内の活性部位をより細かく解析していく。さらに、gamma2鎖ドメインVを認識する抗体を作製したので、この中からgamma2鎖ドメインVによって引き起こされるがんの悪性増殖促進機構を阻害する阻害抗体をスクリーニングする。これらを並行して行うことで、がんの転移抑制剤の開発等の臨床応用を視野に入れた研究を計画している。 また、betaガラクトシドを持った糖鎖に特異的に結合するガレクチンがLmやインテグリンの糖鎖に結合し機能を修飾するという報告がなされている。実際、ガレクチン-8とインテグリalphaMの結合が好中球の接着を誘導することを当研究室が明らかにしている。しかしながら、そのメカニズムはほとんど明らかになっていない。Lamininやその構成鎖である、gamma2鎖にも糖鎖結合部位が存在する事から、Laminin 5やgamma2鎖の浸潤促進機構や生理活性に糖鎖やガレクチンの与える影響を調べる。

次年度の研究費の使用計画

当初の計画通り、主には造腫瘍実験のための動物購入代や様々な組織(がん組織も含む)におけるgamma2鎖の切断状況を免疫染色により明らかにするための、組織購入代に用いる。

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公開日: 2013-07-10  

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