本研究は、治療抵抗性の原因となる癌幹細胞を標的として、同定・診断・治療可能な増殖制御型アデノウイルスベクターの構築および検証をした。細胞表面発現する糖タンパク質CD133は、近年、脳腫瘍、大腸癌など幾つかの癌の癌幹細胞マーカーとして知られて、今回、多因子制御する増殖型アデノウイルスベクター作製技術を用いて、新たな「癌幹細胞を標的治療する増殖型アデノウイルスm-CRA」(CD133反応性m-CRA)を開発した。CD133.m-CRAはヒト神経癌幹細胞を標的に殺傷し、腫瘍マウスモデルにおける腫瘍抑制効果も得られた。難治性癌の標的治療と再発予防を現実に進めるものであると期待している。
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