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2011 年度 実施状況報告書

アルキル化DNA損傷に応答したアポトーシスシグナルの分子機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23701065
研究機関福岡歯科大学

研究代表者

藤兼 亮輔  福岡歯科大学, 歯学部, 助教 (20581713)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワードアポトーシス / 遺伝子トラップ法 / アルキル化剤
研究概要

これまで我々が用いてきたレトロウイルス遺伝子トラップ用ベクターを改良し、その改良型ベクターを用いた遺伝子トラップ法によってマウス繊維芽細胞の遺伝子破壊ライブラリーを作製した。ライブラリー構築の際には改良型ベクターで設計された通り、ハイグロマイシンと続くネオマイシンの二段階薬剤選択を行い、両対立遺伝子が破壊されるように工夫した。このライブラリーの中からアポトーシスに異常が生じ、メチル化剤MNUに耐性となる株をスクリーニングした。あるMNU耐性株の解析からC1orf201 homologとアノテートされた機能未知の遺伝子を同定した。この新規遺伝子は高等真核生物に高度に保存されており、その機能の重要性が予想された。ヒト子宮頸癌由来HeLaMR細胞においてこの遺伝子の発現をノックダウンしたところ、DNA損傷チェックポイントには異常を示さないものの、メチル化剤に誘導されるアポトーシスの発動が顕著に遅れることがわかった。種々のアポトーシスマーカーを用い、新規遺伝子発現ノックダウンがメチル化剤誘導のアポトーシスに与える影響を調べたところ、ミトコンドリア経路の上流で機能することがわかった。この結果をもとに論文を投稿した。 一方、遺伝子破壊ライブラリーからは既存のアポトーシス関連遺伝子は同定されなかった。これはレトロウイルスがある程度の選択性を持ってゲノムにウイルスベクター配列を挿入するためと考えられる。このことから網羅的解析のために、遺伝子破壊系に改良を加え、よりランダムにベクターを挿入するトランスポゾンを用いた遺伝子破壊ライブラリーの作製を試みている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでに、23年度計画に従い、両対立遺伝子を破壊することができる改良型遺伝子トラップ用ベクターを構築し、レトロウイルスを用いてマウス繊維芽細胞における遺伝子破壊ライブラリーを作製した。また、このライブラリーからのMNU耐性株のスクリーニングも実施し、これらの中からいくつかのアポトーシス関連遺伝子を同定した。その1つである新規遺伝子C1orf201については安定的にその発現を押さえた遺伝子ノックダウン細胞を構築して解析を行い MNUによって誘導されるアポトーシスに与える影響を調べた。その結果を学会発表した。また、論文を作成し投稿した。加えて、遺伝子破壊系の改良も考案し準備中である。

今後の研究の推進方策

24年度は今年度に同定したアポトーシス関連遺伝子の解析を行う。これらの遺伝子の発現を、siRNAを用いてノックダウンし、アルキル化剤誘導アポトーシスに与える影響をカスパーゼ3活性化やミトコンドリア膜の脱分極などのアポトーシスマーカーを中心にして調べる。また、これらの遺伝子産物にエピトープタグを融合させて細胞内で発現させ、アフィニティー精製や質量分析などを用いて相互作用因子を同定することでこれらの因子のアポトーシス経路にどのように関与するのかを明らかにする。さらに、トランスポゾンを用いた遺伝子トラップ法をセットアップし、新たな遺伝子破壊ライブラリーを作製する。これによってよりランダムに遺伝子破壊ライブラリーが作製でき、より多くのアポトーシス関連遺伝子の同定が期待される。このライブラリーからMNU耐性株をスクリーニングして網羅的な遺伝子同定を試みる。

次年度の研究費の使用計画

計画書に記載の通り、試薬類、培養細胞用培地、血清、抗体、合成オリゴヌクレオチドなどの消耗品を購入する(九十万円から百万円程度)。その他に学会発表のための旅費、論文投稿料として使用する(三十から四十万円)。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] MAPO1とFLCNによるAMPKの活性化はアルキル化損傷に起因するアポトーシスを誘導する2012

    • 著者名/発表者名
      Lim, TH, et al
    • 雑誌名

      DNA Repair

      巻: 11 ページ: 259-266

    • DOI

      10.1016/j.dnarep.2011.11.006

    • 査読あり
  • [学会発表] 新規遺伝子C10の同定と解析2011

    • 著者名/発表者名
      R Fujikane, M Sanada, M Sekiguchi and M Hidaka
    • 学会等名
      第34回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      2011年12月15日

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公開日: 2013-07-10  

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