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2011 年度 実施状況報告書

Regulatory T細胞制御を基盤とした癌ワクチン療法の新展開

研究課題

研究課題/領域番号 23701075
研究機関和歌山県立医科大学

研究代表者

宮澤 基樹  和歌山県立医科大学, 医学部, 学内助教 (90549734)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワードVEGFR2 / 制御性T細胞
研究概要

本研究の目的は(1)vascular endothelial growth factor receptor 2(VEGFR2)特異的CTLの制御性T細胞(Treg)に対する細胞傷害活性の検討(2)TregのVEGFR2を介したシグナルの機能解析である。本年度はまず(1)についての検討を進めた。健常人PBMCから単球を分離し,成熟化Human DCを誘導した。これにVEGFR2由来エピトープペプチドパルスしたものをstimulatorとし,CD8+T細胞からの特異的CTLの誘導を試みた。VEGFR2を内因性に発現させたtargetに対する細胞傷害活性を4h-Chromium-release assayで評価した結果,VEGFR2特異的な細胞傷害活性を認めたため,次にVEGFR2+FOXP3+CD4+Tregに対する細胞傷害活性についての検討を開始した。まず,標的となるVEGFR2+FOXP3+CD4+T細胞の誘導を試みた。autoMACSでselectionしたCD4+T細胞をIL-2,anti-CD3 抗体, anti-CD28抗体,TGF-βを添加し,培養した。FACSでVEGFR2+FOXP3+CD4+Tregのsortingを行ったが,標的細胞に用いるのに十分量の細胞が得られなかったため,現在培養条件や培養日数を検討中である。当初本年度に予定していたELISPOT assay ,Flow cytometry ,Chromium-release assay 用いたVEGFR2+FOXP3+CD4+Tregに対細胞傷害活性の検討については次年度以降に検討する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

概要にも述べたように健常人PBMCから単球を分離し,成熟化Human DCを誘導し,これにVEGFR2由来エピトープペプチドパルスしたものをstimulatorとし,CD8+T細胞からの特異的CTLの誘導を試みた。VEGFR2を内因性に発現させたtargetに対する細胞傷害活性を4h-Chromium-release assayで評価した結果,VEGFR2特異的な細胞傷害活性を認めた。以上は計画通りに目標を達成している。ただし、VEGFR2+FOXP3+CD4+Tregに対する細胞傷害活性についての検討において,標的細胞であるVEGFR2+FOXP3+CD4+Tregが十分量得られなかったため,現在培養方法等について検討を重ねている。すなわち,autoMACSでselectionしたCD4+T細胞を培養する際に添加するIL-2,anti-CD3 抗体, anti-CD28抗体,TGF-βをなどのサイトカインについて様々な条件を試みているところである。

今後の研究の推進方策

当初予定していた研究計画と大きな変更なく進めることが可能と考えている。すなわち,VEGFR2特異的CTLのTregに対する細胞傷害活性が証明できれば,次にVEGFのTregの機能に関する検討に移る。すなわち,VEGFR2を介したTregへのシグナルが,抗腫瘍免疫に抑制的に作用することを証明する。具体的にはagonist抗体をTreg上のVEGFR2に結合させることで,Treg細胞内のTGF-β,IL-10といった免疫抑制性のcytokineの発現が増強するかについて細胞内cytokine染色を行いFACSで解析する。Treg関連活性化マーカー(CTLA-4),Treg誘導に関与する転写因子解析(STAT3,SMAD2/3)についてもmonoclonal抗体で染色し,FACSで解析する。TregのapoptosisについてもAnnexin V抗体を用いてFlow cytometryで解析する。Tregマスター遺伝子FOXP3の発現は定量的にreal time PCRで検討する。Treg-mediated suppression assay でTregのCD4+CD25negT細胞に対するapoptosis誘導能のみならず,cell to cell suppressionの誘導についても評価する。いずれの系もVEGFR2agonist投与の有無で比較検討する。

次年度の研究費の使用計画

本研究では正確な細胞数の測定を迅速に行うことが,ELISOT,Cr release assay,Flow cytometryといった実験で非常に重要な要素を占める。従来の目視によるcell count法では再現性や正確性といった点で限界がある。よって今回Countess(invitrogen社)に研究費を使用する予定である。これは正確に,生死細胞数と細胞径の平均を測定できる機器で,必要サンプル量も少量で,希釈数計算と転送可能なデータ作成機能,PCを接続も不要といった特徴がある。迅速,簡便かつ正確に細胞数を測定できるため,本実験には必須であると考える。その他,各種抗体や各種サイトカイン,細胞培養液,FACSやautoMACSの維持に必要な消耗品,ELISPOT kitに研究費を使用する。また,研究成果を国内国際学会で発表するための経費も研究費から使用する予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] 最新の膵癌免疫治療2012

    • 著者名/発表者名
      宮澤基樹 山上裕機
    • 雑誌名

      外科

      巻: 74巻 ページ: 2012-2015

  • [雑誌論文] ペプチドワクチンを用いた免疫療法4)抗がん剤との併用2011

    • 著者名/発表者名
      宮澤基樹 山上裕機
    • 雑誌名

      腫瘍内科

      巻: 8 ページ: 439~445

  • [学会発表] The development for a novel cancer vaccine using peptide vaccine for patients with advanced pancreatic cancer2011

    • 著者名/発表者名
      宮澤基樹
    • 学会等名
      AOPA & KPBA
    • 発表場所
      Emerald Room, Lotte Hotel(韓国)
    • 年月日
      2011年9月3日
  • [学会発表] Peptide vaccine therapy for patients with advanced pancreatic cancer2011

    • 著者名/発表者名
      宮澤基樹
    • 学会等名
      International Surgical Week
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川)
    • 年月日
      2011年8月28日
  • [学会発表] 消化器癌ペプチドワクチン療法におけるフローサイトメトリーを用いた免疫動態解析2011

    • 著者名/発表者名
      宮澤基樹
    • 学会等名
      日本サイトメトリー学会
    • 発表場所
      京都市国際交流会館(京都)
    • 年月日
      2011年6月26日
  • [学会発表] 膵癌に対する癌ペプチドワクチン療法の多施設共同試験の現状と展望2011

    • 著者名/発表者名
      宮澤基樹
    • 学会等名
      日本バイオセラピィ学会
    • 発表場所
      ダイワロイネットホテル(和歌山)
    • 年月日
      2011年12月2日

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公開日: 2013-07-10  

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