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2011 年度 実施状況報告書

アンチセンスRNAによる大腸癌の新規診断法の開発とサイレンシング治療への応用

研究課題

研究課題/領域番号 23701081
研究機関筑波大学

研究代表者

小林 昭彦  筑波大学, 医学医療系, 講師 (10446552)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワードアンチセンスRNA / 癌 / スクリーニング
研究概要

本研究では大腸癌におけるアンチセンスRNAの関与を明らかにし、健常人及び大腸癌患者の末梢血中のRNAを抽出して網羅的解析を行い、血液検査による大腸癌の新しいハイスループットスクリーニング法を開発し、さらに細胞株を用いた機能解析を行いアンチセンスRNAによるサイレンシング法の開発を目的とする。大腸癌術前患者18例と健常者6例を対象として、末梢血液中からPAX gene blood RNA kitを用いてtotal RNAを抽出し、ランダムプライミング法によってラベリングを行い、カスタムマイクロアレイを用いてセンス/アンチセンスRNA の網羅的解析を行った。発現解析にはGene Spring GX10を用いた。また、大腸癌症例6例で術後1週間と3ヶ月の血液中のセンス/アンチセンスRNA を同様の方法で測定し、術前との比較を行った。大腸癌患者の血液中で健常人の血液中より転写量が有意水準で変化しているセンスRNAを18種、アンチセンスRNAを35種同定した。階層的クラスター解析(hierarchical clustering analysis)を行うと、これらの35種のアンチセンスRNAは大腸癌患者と健常人を明確に区別することが可能であった。また、術前と術後の比較でも、これらのセンス/アンチセンスRNAに有意な発現変化を認めた。末梢血液中のセンス/アンチセンスRNAの測定が大腸癌の診断に有用である可能性が示唆された。今後、症例数を増やしてさらなる検討を進めることで、血液を用いた大腸癌の新規診断法の開発が期待できる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

大腸癌患者の末梢血中のセンス/アンチセンスRNAのカスタムマイクロアレイによる網羅的解析に関しては、現在までに、大腸癌患者18症例、健常人6症例の解析を終えている。当初予定していた症例数には達していないが、現在も症例を蓄積中であり、これまでの症例数でも大腸癌患者の末梢血特異的なセンス/アンチセンスRNAを同定している。今後症例数を増やすことにより、大腸癌患者末梢血特異的なバイオマーカーの同定が期待される。

今後の研究の推進方策

低コストで迅速診断が可能な新しい癌スクリーニング診断用カスタムマイクロアレイの開発、ヒト大腸癌細胞株におけるアンチセンスRNAのknock down, transductionによる機能解析、3次元培養大腸癌塊に対するアンチセンスRNAを用いたサイレンシング治療の確立を目指す。

次年度の研究費の使用計画

癌組織および血液RNAの解析で明らかになったセンス/アンチセンスRNAの発現プロファイリングから、癌スクリーニング診断に有用と思われる遺伝子を100~200個に厳選し、ハイスループット処理に対応できるように、より低コストでのスクリーニング検査を実現する。大腸癌のスクリーニング診断に有用と思われる候補アンチセンスRNAのうち、発癌・増殖関連のアンチセンスRNAのシークエンスを行い、センスRNAとオーバーラップする領域にsiRNAを設計する。癌特異的糖鎖抗体を表面に持つマイクロカプセルに封入して培養大腸癌株に添加し、アンチセンスRNAを選択的にsiRNAでknock downもしくは、transductionさせ、細胞増殖速度の変化やアポトーシスの程度を検討し、サイレンシング療法に使える遺伝子の候補を絞る。大腸癌を3次元培養した集塊にアンチセンスRNAを局注することによるサイレンシング効果を確認し、大腸癌に対するアンチセンスRNA直接投与の可能性も検討する。

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公開日: 2013-07-10  

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