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2012 年度 実施状況報告書

miRNAによる悪性リンパ腫の治療効果判定予測と生物学的意義の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23701088
研究機関東京医科大学

研究代表者

吉澤 成一郎  東京医科大学, 医学部, 助教 (70421063)

キーワード非ホジキンリンパ腫 / 血清miRNA / miR-92a
研究概要

本研究課題では、非ホジキンリンパ腫における血清miRNAの変動について、患者および健常人の血清を用いて定量PCR法で解析し、リンパ腫の診断や予後予測への臨床応用、さらには、その発現異常の機序について明らかにすることが目的である。初年度は、血清miR-92aの測定系の確立と、実際に臨床サンプル(非ホジキンリンパ腫患者血清)を用いて血清miR-92aの定量解析を研究計画に沿って行った。
よって次年度である平成24年度は、リンパ腫組織内で高発現しているmiR-92aがなぜ血清中では低下するのかについて、血清miR-92aの周辺細胞(血管内皮細胞)の取り込み機構に着目し、そのメカニズムについて明らかにすることを目的として研究を行った。
血清中のmiRNAはエクソソームに包まれて放出されることが近年話題となり、このmiRNAがモバイルRNAとして別の細胞に取り込まれシグナル伝達をしていることが明らかになってきている。実際にmiR-92aをCML(慢性骨髄性白血病)由来細胞株に導入して、その細胞が放出するエクソソームを回収して血管内皮細胞の培養系に添加すると、miR-92aがエクソソームを介して細胞間を移動し、さらに血管内皮細胞の血管新生能をエクソソーム含有miR-92aが促進する事をin vitroモデル系で証明する事に成功した。
また、本研究計画に付随して、多発性骨髄腫患者における血清miR-92aの解析も行い、リンパ腫と同様に骨髄腫患者において血清miR-92aの低下が観察される事を発見し、学術論文 (Yoshizawa et. al., Blood Cancer J. 2012) として報告した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度の「血清miR-miR-92aの測定」系の確立に引き続き、次年度も血清miRNA(モバイルmiRNA)の細胞間の挙動を解析するためのin vitro系の確立を行い、目的を達成する事が出来た。系の確立が順調に行われているため、最終目標であるリンパ腫の診断や予後予測への臨床応用およびその発現異常の機序の解明に向けて、今後も順調に解析を推進する事が可能であると思われる。

今後の研究の推進方策

最終年度に向けて、初年度と次年度で確立した解析系を用いて、最終目標であるリンパ腫の診断や予後予測への臨床応用およびその発現異常の機序の解明を行う。
モバイルmiRNAを含むエクソソームを介した細胞間相互作用の研究は世界的にもまだ始まったばかりであるにもかかわらず、すでに多くの研究者による解析系が日進月歩で開発されている。よって、当初の研究計画とは異なる系による解析での比較が必要になる可能性がある。

次年度の研究費の使用計画

平成24年度は、研究費の使用状況も概ね計画通りであった。よって、最終年度である平成25年度も計画通りに研究費の使用を行う事が出来れば、研究費の過不足は生じないと思われる。
次年度の研究費の使用計画では、モバイルmiRNAの役割を解明するための培養系関連試薬およびmiRNAの強制発現またはレポーターアッセイ関連試薬が必要となる。また、学会発表のための旅費および論文投稿のための英文校正費と投稿料を予定している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Downregulated plasma miR-92a levels have clinical impact on multiple myeloma and related disorders.2012

    • 著者名/発表者名
      Yoshizawa S, Ohyashiki JH, Ohyashiki M, Umezu T, Suzuki K, Inagaki A, Iida S, Ohyashiki K.
    • 雑誌名

      Blood Cancer J.

      巻: 2(1) ページ: e53

    • DOI

      10.1038/bcj.2011.51

    • 査読あり

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公開日: 2014-07-24  

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