研究概要 |
マウス担癌モデルを用いたVEGFR2チロシンキナーゼ阻害薬(VEGFR2-TKI)耐性がん組織の回収を行った。移植された大腸癌細胞株組織が150mm3となった時点から、VEGFR2-TKIであるKi8751(投与なし, 5mg/kg/日, 10mg/kg/日, 20mg/kg/日)を投与し、縮小後に再増大し900mm3となった時点で腫瘍組織を回収し、耐性後組織とした。投与なし群においても900mm3となった時点で腫瘍組織を回収した。また組織回収時には血漿も回収した。 5mg/kg/日群では腫瘍縮小を認めなかった。10mg/kg/日群では6匹中2匹から8週および10週投与後に耐性後組織を回収することができた(以下耐性群)。 血管新生関連因子の耐性がん組織内遺伝子発現と血中タンパク濃度を測定した。耐性群と投与なし群の腫瘍組織からRNAを抽出し、血管新生関連因子(VEGFA, MET, HGF, IL-8, FGF7, KDR, EGF, FGF1, FGF2, KIT, VEGFB, VEGFC)の遺伝子発現を測定した。そのうちIL-8で耐性後に遺伝子発現が増加し、VEGFR2, HGFでは減少した。IL-8の血漿中濃度をELISA法を用いて測定したところ、耐性群では40.06 pg/mLで投与なし群では26.90pg/mLであり、耐性群で上昇していた。 IL-8は、VEGFR2-TKI耐性メカニズムに関わることが予想される。これらの結果から、次段階としてVGEFR2-TKI耐性克服に向けた研究を計画している。
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