研究課題/領域番号 |
23701098
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
砂子阪 肇 金沢大学, 大学病院, 助教 (90595836)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 肝細胞癌 |
研究概要 |
今回我々はSAGEライブラリーを用いた網羅的遺伝子解析による肝細胞癌治療における新しい分子標的を同定した. 正常肝3例,HCV関連HCC3例からmRNAを抽出し, SAGE法により発現遺伝子を定量的に同定しHCCで発現が亢進している未知遺伝子C19ORF10のクローニングに成功したC19ORF10は分子量17kDaの分泌蛋白をコードしており肝細胞癌では正常肝と比較し12倍もの発現亢進を認めた.肝細胞癌組織をレーザーキャプチャーマイクロダイセクションを用い癌細胞と浸潤リンパ球に分離し,C19ORF10の遺伝子発現を検討した結果,肝癌細胞での発現亢進を確認した.内因性C19ORF10の発現亢進を認めない肝癌細胞株を用いた C19ORF10の強制発現では癌細胞増殖の亢進を,内因性C19ORF10の発現亢進を認める肝癌細胞株を用いたsiRNAによるC19ORF10遺伝子knock downでは著明な癌細胞増殖の抑制を認めた.C19ORF10 FLAG fusion蛋白の上清添加により用量依存性に癌細胞増殖は亢進し,抗C19ORF10特異抗体の上清添加により,その癌細胞増殖は抑制された.C19ORF10による細胞増殖の機序はPI3K/AktおよびMAPK/Erk1/2を介したG1 からS期への移行させることをwestern blotで確認した. 上記結果を論文化しInternatiuonal Journal of Cancerに投稿.submitされInternatiuonal Journal of Cancer.第129巻第7号1576頁-85頁 平成23年10月号に掲載された
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
申請したH23年度の研究実施計画はC19ORF10のクローニングおよび蛋白精製までを予定していた. 到達目標は達成されており、更に新規分子としての機能解析、細胞内シグナル分析および中和抗体の作製も既に達成され.ここまでの結果を論文化しInternatiuonal Journal of Cancerに投稿.submitされInternatiuonal Journal of Cancer.第129巻第7号1576頁-85頁 平成23年10月号に掲載された報告した よって達成度は当初の計画以上に進展していると自己評価した
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り今後はC19ORF10の腫瘍マーカーおよび分子標的治療の可能性を探求する.精製蛋白を免疫用抗原とし、Balb/cマウス等に免疫後、血清を採取しアフィニティー精製を行う.ハイブリドーマの樹立としてPEG1500を用いたPEG法によりマウスミエローマ細胞P3U1と細胞融合を行い。脾臓等よりリンパ球を採取。限界希釈法によりクローニングを行い作製したモノクローナル抗体を用いたELISAプレートを作製し同意の得られた肝癌患者ならびに健常人血清中のC19ORF10濃度を測定し、新規腫瘍マーカーとしての可能性を検討する HuH7細胞肝移植マウスモデルを用い、C19ORF10特異ShRNAおよび抗C19ORF10抗体を投与し抗腫瘍効果について検討する.i n vitroの系と同様にFACS analysisによるDNA contentの評価やウエスタンブロットにて細胞内シグナルの変化、ならびに表現型変化の原因・結果、細胞内シグナル変化を網羅的に解析する目的でマイクロアレイ法を用いた遺伝子(パスウェイ)解析を行い、生体内でのC19ORF10分子の機能を解析検討する.ShRNAおよび抗C19ORF10抗体濃度および投与法(皮下・経静脈・肝腫瘍直接投与)を変更し、これらの組み合わせについて検討する.治療後の組織についても病理学的検討を行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
上記、計画を進める上でFLAG fusion蛋白精製を用い抗C19ORF10抗体、ハイブリドーマ樹立をし、抗C19ORF10抗体を用いたELISA系の確立を行う.その目的で細胞を調整する試薬やBalb/cマウス、FLAGアフィニティーゲルの購入を必要とするH23年度に使用予定であった抗C19ORF10抗体、ハイブリドーマ樹立に対しての業者委託に関して、費用ならびにクローニング作業の内容に関して現在調整中でありH23年度に使用する必要が無くなったため、未使用額が生じた。未使用額は次年度研究費と併せて当初の予定通り上記研究に使用する予定である
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