研究課題
今回我々はSAGEライブラリーを用いた網羅的遺伝子解析による肝細胞癌治療における新しい分子標的を同定した.SAGE法により発現遺伝子を定量的に同定し肝細胞癌では正常肝と比較し12倍もの発現亢進している未知遺伝子C19ORF10のクローニングに成功した.C19ORF10は分子量17kDaの分泌蛋白をコードしておりC19ORF10の強制発現では癌細胞増殖の亢進を,C19ORF10遺伝子knock downでは著明な癌細胞増殖の抑制を認めた.C19ORF10 FLAG fusion蛋白の上清添加により用量依存性に癌細胞増殖は亢進し,抗C19ORF10特異抗体の上清添加により,その癌細胞増殖は抑制された.C19ORF10による細胞増殖の機序はPI3K/AktおよびMAPK/Erk1/2を介したG1 からS期への移行させることをwestern blotで確認した結果を論文化しInternatiuonal Journal of Cancerに投稿.submitされInternatiuonal Journal of Cancer.第129巻第7号1576頁-85頁 平成23年10月号に掲載された.更に,ヒト肝癌患者血清における新規腫瘍マーカーならびに分子標的治療ターゲットの可能性を探求する目的でC19ORF10蛋白精製蛋白を免疫用抗原とし家兎への免疫を行い,血清を採取しFLAGアフィニティークロマトグラフィーにてポリクローナル抗体精製を行い,ELISAプレートを作製,ヒト肝癌患者血清および精製蛋白を用いてELISA法による血清濃度測定を現在行っている.
2: おおむね順調に進展している
申請したH24年度の研究実施計画はC19ORF10抗体の作製からELISA系を確立し肝癌患者の血清中C19ORF10濃度の測定としている.到達目標は現在進行中であり、現在症例数を更に追加し結果を検討する予定である.今後,更にin vivoにてC19ORF10のの抗腫瘍効果検討し,肝細胞癌の新規分子標的治療の可能性まで模索する予定である.よって達成度はおおむね順調に進展していると自己評価した
当初の計画通り今後はC19ORF10の腫瘍マーカーおよび分子標的治療の可能性を探求する.ハイブリドーマの樹立としてPEG1500を用いたPEG法によりマウスミエローマ細胞P3U1と細胞融合を行い。脾臓等よりリンパ球を採取。限界希釈法によりクローニングを行い作製したモノクローナル抗体を用いたELISAプレートを作製し同意の得られた肝癌患者ならびに健常人血清中のC19ORF10濃度を測定し、新規腫瘍マーカーとしての可能性を検討するHuH7細胞肝移植マウスモデルを用い、C19ORF10特異ShRNAおよび抗C19ORF10抗体を投与し抗腫瘍効果について検討する.in vitroの系と同様にFACS analysisによるDNA contentの評価やウエスタンブロットにて細胞内シグナルの変化、ならびに表現型変化の原因・結果、細胞内シグナル変化を網羅的に解析する目的でマイクロアレイ法を用いた遺伝子(パスウェイ)解析を行い、生体内でのC19ORF10分子の機能を解析検討する.ShRNAおよび抗C19ORF10抗体濃度および投与法(皮下・経静脈・肝腫瘍直接投与)を変更し、これらの組み合わせについて検討する.治療後の組織についても病理学的検討を行う.
上記、計画を進める上で分子標的治療の可能性を検討するモノクローナル抗体の作成目的にハイブリドーマ樹立を検討している.H24年度に使用予定であったハイブリドーマ樹立に対しての業者委託に関して、費用ならびにクローニング作業の内容に関して現在調整中でありH24年度に使用する必要が無くなったため、未使用額が生じた。未使用額は次年度研究費と併せて当初の予定通り上記研究に使用する予定である
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