研究課題
既存の抗悪性腫瘍薬は正常細胞へも毒性が生じやすく、がん細胞特異的に作用する薬剤の開発が望まれている。代表者らは、化合物スクリーニングにより癌細胞選択的にアポトーシスを誘導する小分子化合物PPLGMを同定し、乳癌モデルにおいて著明な腫瘍抑制効果を示すことを論文発表した。PPLGMは、正常細胞へ低毒性でありながら胃癌においても抗腫瘍作用を発揮することが期待される。野生型及び変異型p53をそれぞれ持つ胃癌細胞株にPPLGM(0~50μM)を添加すると、crystal violet staining、trypan blue stainingにおいて、濃度依存的・時間依存的に細胞死が誘導された。またPI stainingによるFACS解析において、PPLGM投与により胃癌細胞株にアポトーシスが誘導された。一方、Western blottingではアポトーシス関連遺伝子であるPuma及びCaspase 3、cleaved-PARPのタンパク発現上昇を認めた。これらの結果よりPPLGMは、胃癌細胞において抗腫瘍効果を示す可能性が示唆された。
2: おおむね順調に進展している
代表者によって研究計画が立てられ、実際の研究を研究協力者とともに行っている。共同研究者との定期的なdiscussionを行い、研究の方向性を確認するとともに、研究協力者(大学院生) からの更なる実験の支援が必要である。
正常胃粘膜細胞において、PPLGM投与が細胞死及びアポトーシスを誘導するか解析が必要である。その後、ヌードマウスを用いた胃癌細胞株異所性移植モデル、転移腫瘍モデルにおいて、PPLGM投与による抗腫瘍効果を示す。さらに、マウス腫瘍組織標本を用いた免疫組織化学染色及び定量PCRにて、各種遺伝子の発現変化を解析する。異所性移植モデルにおいては、PPLGMが正常組織に与える影響についても検討する。
細胞培養液、FBS等の細胞株maintenance費用。マウス購入費用。免疫組織染色備品及びWestern blotting、免疫染色用抗体購入費用。
すべて 2011
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
Nature
巻: 475 ページ: 231-234